「秘密」なのに…証言内容が漏えい 和光市議会が政治倫理審査会を設置 元部長の事件などめぐる百条委で
埼玉県和光市が生活保護受給者から預かった現金をだまし取ったなどとして市の元保健福祉部長(59)=一審有罪判決=が詐欺容疑などで逮捕、起訴された事件を巡り、地方自治法100条に基づく同市議会の「元和光市職員の不祥事に関する調査特別委員会」で、「秘密会の証言内容が漏えいされた疑いがある」として、和光市の男性医師(64)が同市議会(富沢啓二議長)に対して、市議会議員政治倫理条例に基づき、議員の漏えい違反を調査する「同市議会議員政治倫理審査会」の設置を求める請求書を提出した。
これを受け、同市議会は4日までに同審査会の設置を決めた。同審査会は付託から60日以内に調査結果を議長に報告する。
調査請求書によると、事件を巡り引責辞任した前市長が今年4月12日付のブログで、百条委の秘密会で証人尋問を受けた市職員の証言内容「ヒアリングをパワハラであると議会に説明した」を記載。こうした発言は議会の議事録にはなく、百条委の委員は「この証言は非公開部分」と説明したという。
同市議会会議規則では「秘密会の議事は何人も秘密性の継続する限り、他に漏らしてはならない」と規定されている。男性は「秘密会の証言内容を前市長が知ることは不可能。百条委の誰かが漏らした蓋然(がいぜん)性が高く、議会への信用を失わせ、自由な発言を妨げる」と訴えている。
事件を巡っては、同市議会は2020年に地方自治法98条に基づく調査特別委員会を設置。その後、証人尋問の必要性が指摘されたため、翌21年12月、同法100条に基づく委員会に移行。計35回の委員会を開催し、前市長や副市長など市職員ら計11人の証人尋問を行った。
同委員会は22年6月、「元部長のパワハラが部内に広がり、前市長や副市長が上司としての監督責任を怠り、預り金やパワハラ通報にルールに沿った対応をしなかった」などと指摘。市の執行体制の刷新や、市長決裁は最終決裁者として責任を持つなどの改善措置を市に提言している。