埼玉新聞

 

<埼玉西武>新室内練習場で新人が合同自主トレ ドラ1の宮川や松岡、育成1位の出井ら全9選手参加

  • キャッチボールでやや強めのボールを投げる松岡=9日午前、所沢市のライオンズトレーニングセンター

  • キャッチボールで感覚を確かめる出井

 埼玉西武の新人合同自主トレが9日、埼玉県所沢市のメットライフドームに隣接するライオンズトレーニングセンター(新室内練習場)でスタートし、ドラフト1位の宮川哲投手(東芝)、同3位の松岡洸希投手(桶川西高出、武蔵ヒートベアーズ)、育成ドラフト1位の出井敏博投手(埼玉栄高出、神奈川大)ら全9選手が参加した。

 ダッシュ、キャッチボール、縦列ノック、バランスボールを使った体幹トレーニングなど約3時間のメニューで汗を流した。初日を終え、松岡は「ダッシュがきつかったが楽しかった。キャンプ初日から全力で投げて、全力で動けるように体をつくっていきたい」と意気込みを語った。

■夢届ける“県立の星”/松岡

 初日の約3時間の練習を終えた松岡は、「とてもやりやすい環境。きつい練習も楽しくやることができた」と充実の表情。練習中には、強力打線の中軸に長年君臨し続ける中村とあいさつを交わし「オーラがあった。僕もこういうオーラを出せるような選手になりたい」と気持ちを新たにした。

 キャッチボールでは、右サイドから5割程度の力の入れ具合で切れのある球を投げ込んだ。

 特にテーマは設けなかったと言うが、「僕なりに強めに投げられて調子が良かった。(キャッチボール相手の)上間がボールが伸びているという感じで取ってくれた」と手応え。本格的な投球練習については「いつでも大丈夫だが、強度が上がってくる。体がいい時にブルペンに入れれば」と冷静に先を見据える。

 6日に入寮。8日には同学年で昨年のドラフト2位・渡辺(浦和学院高出)の部屋に初めて入ったといい、「思っていたよりもフレンドリーだった」と笑う。

 その渡辺と歩んできた道のりは対象的だ。渡辺は高校3年の時、エースとして夏の甲子園8強。一方の自身は、桶川西高時代は県内でもほぼ無名の存在だった。それでも、この1年で目覚しい進化を遂げ、「僕のいた学校は人数も多くないし強くもなかったが、諦めないで上で野球を続けられたことで、こうしてもっと上のレベルで野球ができる。諦めなかったことで道は開けた」と拳を握る。

 誰もが応援したくなる“県立の星”。「僕は真っすぐが武器。自分のスタイルを崩さず、貫き通して勝負する」と埼玉の高校球児にも夢を届けるつもりだ。

■“育成の星”へ反骨心/出井

 柔らかい肘の使い方に高い将来性の一端が垣間見えた。

 育成の出井は、キャッチボールで185センチの長身から好回転のボールを披露。真っすぐが落ちたり、スライダーしたり、シュートすることもなく「思った以上に投げられて感覚がいい。いい伸びだった」と笑顔。報道陣が多く見守っていたことで、「アドレナリンが出たのかも」とおどけた。

 戸田市で生まれ、高校は栃木から埼玉栄に3年間通っただけに、埼玉は「親しみやすい場所」で埼玉西武には「縁を感じる」という。その球団で一日も早く支配下登録を勝ち取りたいが、焦りは禁物と肝に銘じている。「けがをしたら駄目。まずは体づくりが第一」と段階を踏んでキャンプでアピールするつもりだ。

 育成という立場も重なり、ポジションが確立されていない分、一層燃えているという。「高校時代もそうだったけれど、プロでも反骨心を出せるかどうか。下からはい上がれるように頑張るだけ」。目指すは今や3億円プレーヤーにまでなったソフトバンクのエース千賀のような“育成の星”だ。

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