下水道使用料、7月から29%値上げへ 秩父市、施設老朽化で23年ぶり改定 今後の見直しも5年度ごとに
秩父市下水道事業審議会(永谷充正会長)は10日、下水道使用料の改定について、今年7月に平均改定率29%の値上げなどとした答申書を久喜邦康市長に手渡した。答申通りに料金改定が行われた場合、月額の20立方メートルの料金(税別)は現行の1500円から1955円に値上げが実施される。下水道使用料の改定は1997年以来で23年ぶり。下水道施設は老朽化に伴う改築更新費用の増大や使用料収入の減少などが、多くの自治体で問題となっている。
市の下水道事業は着手から65年以上が経過。2019年3月時点で、下水管は総延長約205キロのうち、約18%に相当する約37キロが設置から50年以上が経過し老朽化している。10年後は約35%の約73キロ、20年後は約49%の約102キロになる見込み。
昨年9月に同審議会が設置され、久喜市長から「公共下水道事業における使用料金の適正化」について諮問を受けた。これまで5回の審議会を開催し、市内3カ所で開催した住民説明会やパブリックコメントの結果も参考にしながら慎重な審議を重ねてきた。
現在の下水道経営は一般会計からの補助を受けることによって維持されている。使用料収入不足分を補填(ほてん)するための基準外繰入金1億8400万円(5カ年平均)を全て解消するためには58%の値上げが必要だが、市民生活や地元経済に与える影響などを考慮し、平均改定率を29%とした。
答申書は3月定例市議会で議決を得た後、使用者への周知期間などを考慮し、今年7月に下水道使用料改定を行うことが適当とした。算定期間は20年度から5年間。今後の下水道使用料の見直しもおおむね5年度ごとに行うことが妥当としている。
同審議会の木村健一副会長から答申書を受け取った久喜市長は「市民に負担を強いることになり、大変重みのある内容。市議会で意見を聞きながら最終決定するが、できれば7月から改定していきたい」と話した。