【部活どうなる(7)受け皿】PTA中心に運営も1年で断念…課題、限界浮彫りに 「プロ」に事業委ねる白岡市
これまで学校が担ってきた部活動を地域に移行する時、誰が運営主体となるのか、課題に挙がるのが受け皿の問題だ。施設の管理、指導員の確保、参加者からの金銭の授受、安定した財源の確保など、適性を備えた受け皿はあるのだろうか。
国のガイドラインは「運営団体・実施主体」に、総合型地域スポーツクラブやスポーツ少年団、体育・スポーツ協会、競技団体、クラブチーム、プロスポーツチーム、民間事業者、フィットネスジム、大学などを挙げる。
埼玉県白岡市は初年度となる2021年度、委託団体として「ASC(アスク)」を設立した。「地域移行には保護者の理解が不可欠」とし、地元PTAらが中心に取り組んだ。しかし、任意団体には限界があり1年で断念することになった。
原因について、ASCは「委託内容の理解相違があった」「指導者への連絡、資金調達に限界があった」などと課題を報告した。委託した市も「ボランティア意識が強く、契約を請け負う事業者として意識や責任感がやや弱い」と総括した。
市はモデル事業の2年目、東京都中央区のスポーツデータバンク社に事業を委託した。同社が自治体や市教委、学校、指導者、生徒、保護者らの間に入り、事業を運営している。
スポーツデータバンク社はプロ選手をはじめ市内外で指導者を発掘。部活動を指導できるよう研修を重ねる。会場の確保や鍵開け、練習のスケジュールを調整。スマートフォンのアプリを通じて、指導員や生徒の出欠、保険加入などを管理している。
「(地域移行の)第一歩として何をやれば良いか分からない自治体が多い。受け皿はさまざまあるが、まずは何を目指すか議論することがスタート」と同社の石塚大輔代表は指摘する。
地域の資源を調査して最大限活用できるモデルをつくり、課題や方向性を整理した上でベストな選択をしなくてはならないが、「そういう役割がまだまだない。指導者像がないまま外部の人を当てようとしても、人がいない、集まらないという結果になる」と自治体が直面する問題を分析した。