<成人式>台風被害の東松山で新成人誓う 上尾でも式典、友人再会でにぎやか「あっという間だった」
台風19号の記録的大雨から12日で3カ月。住宅の浸水など甚大な被害を受けた東松山市では、市民文化センターホールで成人式があり、約600人が出席した。新成人の代表は「微力ながら復興を支援したい」と力強く誓った。
東松山市は昨年10月12日の台風19号で、都幾川など4河川、計7カ所で堤防が決壊するなど、死者2人(水害関連死1人を含む)、528戸の家屋の浸水被害があった。
森田光一市長は式辞で「一歩一歩、自らの目標に向かって羽ばたいてください」と激励。その中で、水害に触れ「被災地の復旧・復興は道半ば、生活再建に全力で取り組んでいる。皆さんも(被災者・被災地に)心を寄せて、できる支援をしてもらいたい」と述べ、若い力に期待を寄せた。
新成人を代表して磯崎史弥さん(20)は誓詞で、台風19号の被害について、「自然の恐ろしさ、残酷さを知った。人生の中で初めて起きた天災は一瞬にして日常を奪いました」と述べた。
さらに「当たり前であった日々を取り戻すのは決して簡単ではなく、非常に長い時間と労力がかかることを痛感しました。東松山市は(多くの人の)苦難の積み重ねを経て今があります。私もこの歴史をつくる一員を目指し、微力ながら復興を支援してまいります」と誓った。
自宅が床下浸水の被害に遭った磯遼平さん(20)は「自分の家が被災するとは思わなかった。祖母から半世紀前に『水が出たことがある』と聞いてはいたが、安全な場所だと思っていた。(今回のことで)何が起こるか分からないと感じた。今後は成人として、より自覚して生活していきたい」。大学で航空宇宙工学を専攻しており、「宇宙開発のエンジニアを目指して頑張りたい」と前を見据えた。
県内ではこの日、46市町村で成人式が開かれた。上尾市の成人式は市文化センターで行われ、新たに2417人が成人を迎えた。会場周辺には、華やかな振り袖やスーツに身を包んだ新成人があふれ、久しぶりの友人との再会に、にぎやかな声を上げて写真を撮って盛り上がっていた。
式典に参加した門谷春輝さん(19)は13日に20歳の誕生日を迎える。「成人の日に年齢的にも社会の一員になるので、より責任を実感している」と新成人としての実感をかみしめる。飲食店勤務の矢島かのんさん(20)は「将来、地元で家族や友人の集いの場となるような店を出すのが夢。かなえるために頑張りたい」と抱負を語った。
友人と写真を撮っていた大学2年浜野真由さん(20)は「あっという間だった」と振り返り、友人の同2年高口伸二さん(20)は「地元上尾をより良い町にするために力を尽くせたら」と笑顔で話した。