埼玉新聞

 

台風19号の浸水で一時閉鎖…坂戸の駐在所、修繕終わる 地域住民の心強い存在、3カ月ぶり業務再開

  • 修繕した東坂戸駐在所で業務を開始した高橋之喜巡査部長=14日午前、坂戸市東坂戸2丁目

 台風19号による浸水被害で、一時閉鎖していた坂戸市の東坂戸団地内にある西入間署東坂戸駐在所が14日、約3カ月ぶりに業務を再開した。同所に勤務する高橋之喜巡査部長(33)は被災後、約1キロ離れた三芳野駐在所(坂戸市横沼)から、東坂戸団地周辺のパトロール活動を続けてきた。高橋巡査部長は「皆さんには心配や不便を掛けたが、これまでと変わらぬ気持ちで、地域の安全と治安維持活動に努めていく」と、修繕が終わった駐在所の前で気を引き締めた。

 台風19号は昨年10月12日、関東地方に上陸し甚大な被害をもたらした。坂戸市防災安全課によると、東坂戸駐在所の管轄区域である東坂戸1、2丁目、紺屋では、92世帯が床上浸水した。同駐在所も1階部分の高さ約1メートルまで浸水。電話やパソコンなどの備品が故障し、一時閉鎖を余儀なくされた。

 県警施設課によると、台風19号の影響を受け、越谷署のせんげん台駅前交番や、県警機動センター(さいたま市西区)の運転練習コースも浸水被害に遭ったが、業務を停止し、閉鎖した警察施設は東坂戸駐在所だけだという。

 被災時、高橋巡査部長と共に駐在生活を送っていた家族4人は、県警の救命ボートで避難。駐在所が復旧するまでは、鶴ケ島市内の県警の宿舎などで生活を送っていた。

 高橋巡査部長は台風上陸から約1週間後に職場復帰。三芳駐在所を拠点に、パトカーなどで管轄区域の警ら活動を行った。日中は被災地や避難所を訪問し、疲労と不安を抱える被災者たちの心のケアに努めた。避難所の住民からは「しばらく家に帰れそうにないから、泥棒に入られてしまうのではないか不安」との声が多く寄せられたため、夜間は地域周辺の防犯パトロールを強化した。

 東坂戸団地に住む同駐在所連絡協議会の村上功会長(78)は「駐在所は地域住民の安心安全には欠かせない重要な場所。今後もみんなの力になってほしい」と話し、駐在所の再開に安心した様子だった。住民の中村明美さん(73)は「高橋さんはいつも親身になって、住民の相談に乗ってくれる心強い存在」と話した。

 同署の大橋勝也副署長は「駐在所は治安維持の基盤となるところなので、今後も地域住民の新たな要望に応えるべく、きめ細やかな警察活動を行っていきたい」と話す。

 高橋巡査部長は「皆さまの励ましを受けながら、こうして業務を再開できることをうれしく思う。今後も地域に根差したまちづくりを推進していくので、気軽に立ち寄ってほしい」と力強く語った。

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