高崎線開業や新幹線の資料など展示 埼玉県立文書館、鉄道の埼玉を描き出す企画展 幻の路線の資料も
さいたま市浦和区高砂の県立文書館で、同館所蔵の国指定重要文化財「埼玉県行政文書」などから県内の鉄道を知る企画展「埼玉の鉄道―明治から現代へ」が始まった。3月8日まで、88点の資料を展示する。明治時代から現代に至る鉄道史を紹介する展示。
展示資料のうち「従東京上野至武州熊ヶ谷蒸気車往来繁栄之図」は1883(明治16)年、「日本鉄道会社線」上野―熊谷間が開通した頃に出版された錦絵。中山道沿いに熊谷まで、現在の高崎線が走る様子が描かれている。
「埼玉県行政文書」の「東京高崎間鉄道開設線路測量ニ付各郡役所へ達案」は、80(明治13)年6月、当時の工部省鉄道局が東京―高崎間の線路を測量することに際し、県が県内各郡役所に注意すべき事柄を伝達した文書。この後、財政難で一時、鉄道建設は中止されるが翌年11月に日本初の私設鉄道会社「日本鉄道会社」が設立され、83年7月、上野―熊谷間が開業している。
「東京高崎間鉄道略図」は81(明治14)年5月に描かれた路線図で、中山道の宿場近くに「ステーション」の文字が赤字で記され、高崎線開業後の85年3月に開業した大宮駅が、計画段階ですでに盛り込まれていたことを知ることができる。
このほか、東上鉄道、上武鉄道、川越鉄道といった現在の鉄道会社のルーツとなる社の関連資料や、武州鉄道、幸手鉄道といった幻の路線関連や、新幹線の関連資料も展示。東北新幹線開業を伝える埼玉新聞の紙面や、埼玉新聞社による戦後の鉄道を撮影した写真も展示される。
担当学芸員の佐藤美弥さんは「当館収蔵『埼玉県行政文書』や、JR東日本大宮総合車両センター、郵政博物館などから特別に出品いただいた貴重な資料は『鉄道の埼玉』を描き出すもの。現在の県内の鉄道のルーツなど、文書から明らかになる地域史の面白さを感じていただければ」と来館を呼び掛けている。
月曜、31日、2月11、23日休館。午前9時~午後5時、観覧無料。
問い合わせは同館(電話048・865・0112)へ。