埼玉新聞

 

ウナギ750トン扱う問屋、名案“うなぎスナック”開発 管理難しいウナギを無駄にせず「いつか埼玉名物に」

  • 「ウナギの大切な命を一匹でも無駄にしたくない」と話す清水社長(左)と開発担当の松井さん

    「ウナギの大切な命を一匹でも無駄にしたくない」と話す清水社長(左)と開発担当の松井さん

  • 「ウナギの大切な命を一匹でも無駄にしたくない」と話す清水社長(左)と開発担当の松井さん

 1897年創業の川魚問屋鯉平(さいたま市見沼区)は、食用ウナギの廃棄ゼロを目指して、手軽に食べられるおつまみ「うなぎスナック」を新開発。31日まで購入型クラウドファンディング「IBUSHIGIN」で限定販売している。

 ウナギは生きたままの状態で加工するという管理の難しさから出荷が遅れて死んでしまう個体が一定数発生する。うなぎ店からの注文は形や見た目に加え、グラム単位での細かな要望となるため、日によって40~50匹が売れ残り、3日以内に出荷できない場合は廃棄に回されるという。

 5代目の清水亮佑社長(37)は「漁獲量が減り価格が年々高騰する中、SDGs(持続可能な開発目標)のつくる責任、つかう責任の意味でも廃棄を減らすのは私たちの責務」と開発の経緯を振り返る。同社営業部の松井洋一さん(37)が秩父市の会社と約半年間試作を重ね、長期保存可能なフリーズドライ加工品として完成させた。松井さんは「ショウガやニンニクなど薬味の調合が難しかったが、風味や栄養価を損なわずにおやつ感覚で食べていただけると思う」と自信を見せた。同商品3袋分で約1匹のウナギを廃棄せずに済むという。

 同社の一年間のウナギの廃棄率は現在、仕入れ量の0・40%(約1万2千匹)。清水社長は当面の目標を0・27%(約8100匹)とし、「年間750トンものウナギを扱う問屋としてこの取り組みを軌道に乗せたい。いつか海外の人が日本のお土産として当たり前のように選んでくれたらうれしい」と話した。

 開発されたスナックは、かば焼き(さんしょう味)と白焼(わさび塩味)の2種類で各30グラム入り。6月15日から同クラウドファンディングで販売を開始し、11日午後4時時点で目標額の50万円に対し、98万7100円(197%)を達成している。
 
 問い合わせは同社(電話048・682・0525)、またはクラウドファンディングサイト「IBUSHIGIN」(https://mmp-mbkg-ibushigin.en-jine.com/projects/037)へ。

ツイート シェア シェア