埼玉新聞

 

埼玉で交通取り締まり強化へ 夏の解放感による事故抑止を目指す すでに死亡事故多発中、注意ポイントは

  • 取り締まり部隊の巡視を行う県警の荻野長武交通部長(右から2人目)ら=13日午前、東北道蓮田サービスエリア

    取り締まり部隊の巡視を行う県警の荻野長武交通部長(右から2人目)ら=13日午前、東北道蓮田サービスエリア

  • 取り締まり部隊の巡視を行う県警の荻野長武交通部長(右から2人目)ら=13日午前、東北道蓮田サービスエリア

 夏の交通事故防止運動が15日に始まる。埼玉県警は24日までの10日間、自転車乗用時のヘルメットの着用促進や子どもと高齢者の事故防止、飲酒運転の根絶を重点テーマに、啓発活動を展開。県民に広く交通安全思想の普及や浸透を図るとともに、交通ルールの順守や正しいマナー実践の習慣付け、思いやりのある運転の徹底によって、夏の解放感から起こる交通事故防止を目指す。同運動は県独自で、今年で56回目。

 県警交通総務課によると、今年の県内の交通事故死者は12日現在、前年同期比1人増の57人。5月末時点ではマイナス8人だったが6月から増え、7月に入ってプラスに転じた。県は、7月1~5日の5日間で5件の死亡事故が発生したことで7日に「交通死亡事故多発警報」を発令(16日まで)。警報発令中での運動スタートとなる。

 高齢者(65歳以上)の事故死者は33人で全体の57・9%に上る。県警は歩行中や自転車が関係する高齢者の事故は自宅に近い場所で発生している傾向が強いことから、分析システムで導き出した事故多発エリアを重点的に世帯訪問するなどの広報啓発を実施。ドライバーにも高齢者の行動特性を理解した上で、近くを通過する際は徐行するなどの思いやり運転を心がけてもらうように働きかける。

 12日までの死者を状態別で見ると、歩行者(20人、前年同期比7人減)と自転車(9人、同1人減)が減少しているのに対して、自動と原付を合わせた二輪車は18人で9人多く、急増している。

 二輪車事故死者18人の内訳は右折事故(9人)と単独事故(4人)が多数を占める。実際の速度よりも遅く見られたり、死角により他車から見落とされたりする二輪車の特徴が事故の一因として考えられる。交通総務課の田中守課長は「交通環境に応じて十分に減速し、安全な速度で運転するなど事故防止に努めてほしい」と呼びかけている。

■安全呼びかけ、蓮田SAで出発式

 夏の交通事故防止運動を前に、東北自動車道上り線の蓮田サービスエリア(SA)内にある駐車場で13日、出発式が行われた。

 県警高速隊や交通機動隊員ら約50人に加え、県防犯・交通安全課や県トラック協会などの関係者らが参加。SA利用者に思いやりのある運転を呼びかけるうちわや、高速道路上の落下物にちなんでクラッカーなどを配布した。取り締まりを行う白バイやパトカーなどは、車両点検や巡視を行った後でSAを出発した。

 県警の荻野長武交通部長は、7月に入ってから死亡交通事故が増加していることに触れた上で、「(取り締まり部隊の)活躍により交通事故が一件でも多く減少することを願っている」と訓示した。
 

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