徳川家ゆかりの小箱など、貴重な資料5千点収蔵 日本初、さいたまに人形専門の公立博物館 2月22日開館
2020/01/22/00:00
日本初の人形専門の公立博物館となる「さいたま市岩槻人形博物館」(同市岩槻区本町)が完成し、2月22日の開館を約1カ月後に控えた21日、報道陣向けの内覧会が行われた。
収蔵資料は、人形玩具研究家として知られた日本画家西澤笛畝(にしざわ・てきほ=1889~1965年)が収集した約3500点を含む人形、浮世絵、古典籍、人形製作道具など計約5千点。江戸中期から昭和時代にかけての資料が中心だという。
同館は旧岩槻区役所跡地に2017年12月から工事が始められ、19年1月に完了した。鉄筋コンクリート造り一部鉄骨造り平屋施設で、延べ床面積約2千平方メートル。同市が約42億円をかけて建設した。
施設内には三つの展示室と、ワーキングショップなどを行う会議室、ドリンクコーナー、ミュージアムショップを開設。専門知識を有する4人の学芸員を配置し、人形をはじめとした資料の修理や保管、調査研究、展示や公開を行う。
内覧会では学芸員による解説が行われ、公家や武家のしきたり「有職(ゆうそく)」に忠実に従って江戸期に作られた「有職雛(びな)」や、子孫繁栄の願いを込めて寝室に飾られた徳川家ゆかりの嫁入り道具で犬形の小箱「犬筥(いぬばこ)」など貴重な資料が公開された。
林宏一館長(75)は「ようやく開館となる。皆さまに親しまれる展示や普及活動を行うと同時に、岩槻人形協同組合、さいたま商工会議所ほか関係の皆さまと連携し、文化振興、地域振興に寄与したい。施設が人形の魅力を伝える拠点となれば」と話した。観覧料は一般300円。