埼玉新聞

 

<新型肺炎>埼玉8社が武漢進出、空港閉鎖直前に駐在員帰国 県内留学生に体調確認中 観光地、春節で心配

  • 埼玉県庁=さいたま市浦和区高砂

 中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎が広がりを見せる中、現地に関連会社を持つ県内企業は対応に追われている。県は留学生の健康状態の確認も進めているほか、外国人訪日客が訪れる観光地も動向を注視している。

 県企業立地課によると、武漢市に進出している県内企業は8社。同課は「現在のところ、県内企業やその現地法人から問題が発生しているという情報はない」という。

 武漢市に子会社のある県内の自動車部品メーカーでは、現地の工場に日本人駐在員1人と約90人の中国人従業員が働いている。新型肺炎を発症している従業員はおらず、残っていた駐在員も空港が一時閉鎖となった23日午前10時(日本時間同11時)直前の最後の便で帰国したという。

 同社は「春節(旧正月)が終わる2月2日までは休業するが、3日からの稼働は状況を見て検討したい。状況が長引くと業績にも影響があるが、駐在員派遣や出張も当分見送る方針だ」と話した。

 県は、同国山西省と北京市に留学している県内の学生5人に安否確認の連絡を行い、3人については体調に異変がないことを確認した。残りの2人は返答を待っている状態という。

 国際課によると、山西省には県の奨学生派遣事業で学生3人が留学。全員が春節のため一時帰国している。北京市には県国際交流協会の事業で2人が留学し、現在も同市に滞在しているという。

 同課は留学の続行などについて「県が事業の中断などを判断する予定は現在のところない」と説明する。県と同省は医療や環境保全に関する職員の派遣なども行っており、「両国の動向を注視していきたい」としている。

 多くの訪日外国人客が訪れる川越市。市や小江戸川越観光協会は緊張感を持って事態を注視している。

 市観光課によると、同市に訪れる外国人観光客数は約27万9千人(2018年)。このうち観光案内所を訪れた人の割合で推計した国・地域別数をみると、中国からは約1万7200人。アジア圏では台湾、タイ、香港に次いで4番目に多いという。

 同課は「これまでのところ市内の観光地域に具体的な指示は出していない」と話し、推移を見守っている状態だ。市内の観光地の食品土産店は「店舗で対策はできていない。春節を迎え、心配ではある」と話した。

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