埼玉新聞

 

性の知識伝え、生徒が相談しやすい環境を 坂戸の大学で講演会、北欧の進んでいる性教育紹介

  • 北欧で得た知見を講演で紹介する鶴田七瀬さん=25日、女子栄養大学

 坂戸市の女子栄養大学で25日、彩の国思春期研究会西部支部(高橋幸子代表)が性教育についての講演会を開き、性教育トイレットペーパーの開発などを行う一般社団法人ソウレッジ代表の鶴田七瀬さん(24)が北欧における性教育の取り組みなどを紹介した。

 鶴田さんは大学在学中に「北欧の性教育は進んでいる」という言説について確認するため、オランダ、英国、デンマーク、フィンランドを訪問し、現地の教育機関などを視察した。

 オランダでは国立図書館の中で性に関する蔵書が充実しており、小学校の性教育月間には児童が調べもの学習に利用していると説明。「日本の性教育は受精から始まるが、オランダでは性行為からで、妊娠や性感染症についても流れの中で学んでいる」と話し、「性を楽しむ権利も教えている」と説明した。

 英国については、性暴力と健全な関係を分類して比較する児童書や幼児向けに下着の中などデリケートゾーンを他人から守ることをポップな歌とキャラクターの動きで教える動画があることを紹介。

 デンマークでは体形などの個人差を肯定する「ボディーポジティブ」という価値観が一般的であることや、フィンランドでは「親が性の知識を繰り返し伝えて大切さを理解させ、問題が起きたときに相談できる環境をつくっている」ことなどを紹介した。

 講演後、約30人の参加者は職業ごとにグループに分かれて感想や「今、自分にできること」を議論。

 養護教員の参加者らは「掲示物で性教育について積極的に発信することで、生徒が保健室に相談しやすい環境をつくりたい」と話し、医療関係者らは「保護者の間では低用量ピルや子宮頸(けい)がんワクチンの知識が乏しく、拒否感を抱いていることがある。病院に子どもを連れてきてそうしたケアを受けさせる保護者には、肯定して褒めてあげることで少しでも啓発していきたい」と語った。

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