埼玉新聞

 

客75万人“関東一の祇園”熊谷うちわ祭、あす20~22日に開催へ 露店520店 巡行祭を夕方に変更した理由

  • 2019年の熊谷うちわ祭

    本来の形で開催されていた2019年の熊谷うちわ祭

  • 熊谷うちわ祭のポスターを持つ大総代の八木橋宏貴さん=熊谷市仲町の八木橋百貨店

    熊谷うちわ祭のポスターを持つ大総代の八木橋宏貴さん=熊谷市仲町の八木橋百貨店

  • 2019年の熊谷うちわ祭
  • 熊谷うちわ祭のポスターを持つ大総代の八木橋宏貴さん=熊谷市仲町の八木橋百貨店

 「関東一の祇園」と称される八坂神社大祭「熊谷うちわ祭」が20~22日、熊谷市中心部で開催される。今年は初日の熊谷駅前の初たたき合いをはじめ、露店も約520店が出店されるなど、4年ぶりにほぼ通常通りに行われる。熱中症対策で巡行祭は夕方に変更。同市仲町の八木橋百貨店社長で、祭りを取り仕切る大総代の八木橋宏貴さん(50)は「少し天気が心配だが、無事故で盛大にできれば」と意気込んでいる。

 熊谷うちわ祭は熊谷市鎌倉町の愛宕神社に合祀(ごうし)されている八坂神社の祭礼。江戸中期の寛延年間から始まり、明治時代から現在の山車が登場した。名称は料亭がうちわを得意客に配ったことが由来とされる。毎年7月20~22日に実施し、例年は3日間で観光客約75万人が訪れ、関東一の祇園と称される。

 2019年の通常開催を最後に新型コロナウイルスの影響で、20年と21年は諸行事を自粛し、神事のみを実施。昨年は山車や屋台の町内巡行、交通規制の実施により、巡行祭、全町の山車や屋台がお祭り広場に集合して年番送りなども行ったが、通常よりも規模を縮小していた。

 うちわ祭で山車や屋台を巡行するのは中心市街地の12町区。そのうちの8カ町が毎年交代で、祭りを取り仕切る年番町を務める。そのトップである大総代は一世一代の大役とされるが、八木橋さんは2014年にも務めており、今回は9年ぶり2度目の大役。八木橋さんは「仲町は人がいない…」と苦笑いするが、仲町の世帯数は1日現在で45世帯と少ない。

 祖父や父も大総代を務めてきた八木橋さんは今年、例年21日の午後1時から行われていた巡行祭を同5時半からに変更。熱中症対策の一環で、前回大総代を務めた14年の時から考えていた案だった。しかし、それは中日の日中のにぎわいが失われることもあり、批判も覚悟していたが、「思ったより好意的に受け止められている」。

 一方、各町でまちまちだった会所開きを19日の夕方から時間差で一斉に行い、21日の巡行祭で各町に渡されていた幣束を20日の渡御祭で授与するなど、本来あるべき姿に変更。山車や屋台の位置情報がリアルタイムに分かるシステムもリニューアルさせた。

 うちわ祭に欠かせないお囃子(はやし)は本番が近づくと、夕方から各町内で練習が始まる。仲町は世帯数が少なく、地元以外から集まる子どもたちがお囃子を奏でている。「今年は『お囃子をやってみたい』と言ってくれる子どもが多くて、本当にうれしかった」と笑顔を見せた。

 年番町は建制順で回っていき、仲町は最後の年番町。今年は新型コロナウイルスの影響も考慮し、交通規制の範囲は例年より縮小させた。八木橋さんは「今年でコロナ禍の最後のお祭りにして、次に伝統文化を継承していければ」と話していた。
 

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