埼玉パナ、埼玉上尾も…部活動の地域移行で9団体を採択 「選択肢を充実、働き方改革にも」 県が実証事業
埼玉県は21日、中学校の部活動の地域移行に関する実証事業にラグビーリーグワンの埼玉パナソニックワイルドナイツ下部組織やバレーボールVリーグの埼玉上尾メディックスなどプロチームを含む9団体を採択したと発表した。事業の実施期間は来年2月まで。休日に中学生にスポーツを指導し、部活動の段階的な地域移行を図る。
県スポーツ振興課は「少子化による生徒数減少などで、本当はやりたかった部活動が入学した中学校になく、できないという悲しい思いをする子どもが今後増えるかもしれない」と話し、地域で部活動の受け皿を増やすことで「子どもにとっての選択肢を充実させ、将来的には教員の働き方改革につながれば」と期待を示している。
同課の担当者によると、9団体の事業には、基本的に中学校の平日の部活動で行うスポーツを休日にも「スライド」して行うものと、学校の部活動とは別に参加できるものがある。スライドするものはサッカーWEリーグの「エルフェンスポーツクラブ」(飯能市と日高市)やJTB川越支店(川越市)、バスケットボールBリーグの「越谷アルファーズ」(越谷市)など。野球の「スタンド・フォー・ベースボール川口」は川口市内を4チームに分けて、希望する現役教員が指導を担当。担当者は「もともと部活をやりたい先生が休日に指導するので、先生のモチベーション向上につながる」と話す。
一方、バレーボールの「入間スポーツクラブ」(入間市)やバドミントンの「サイオー」(北本市、桶川市、鴻巣市)などは活動地域の中学校に担当するスポーツの部活動がない場合もある。子どもは平日に取り組む部活動とは別の競技を休日に体験でき、中学校体育連盟の大会出場を目指すチームもあるという。埼玉パナは既存のジュニアユースで、熊谷市や伊奈町を中心に全県の希望者を受け入れる。従来は競技性を重視していたが、実証事業ではラグビー初心者にも間口を広げる。
事業終了後は各団体の取り組みの成果などを報告する地域ミーティングを各地で実施する。
部活動の地域移行を巡っては、本年度、県教育局保健体育課も蕨市や久喜市など6市で実証事業を予定。県スポーツ振興課はスポーツチームと連携した地域での受け皿づくり、保健体育課は市町村教育委員会の取り組みを推進し、両面から地域移行を進めるという。