埼玉新聞

 

バレンタイン商戦に変化、本命や義理チョコ減少 ニーズが多様化、トレンドに自分チョコが定着

  • チョコレートを試食しながら、商品を買い求める女性客=7日午後、川越市のまるひろ川越店

 バレンタイン商戦が活況を呈している。近年、好きな相手に贈る「本命チョコ」や会社の上司らに配る「義理チョコ」のニーズが減り、自分用に買う「自分チョコ」がトレンドとして定着。ニーズの変化や多様化を受け、各百貨店などは独自の趣向で差別化を図り、幅広い客層を取り込もうとしている。

 川越市のまるひろ川越店では、会場を例年より2割ほど拡大し、過去最多の国内外約100ブランドがずらり並ぶ。

 義理チョコの不振などで増加傾向だった売り上げが昨年減少。今年は主に自分用に買う客層のニーズを踏まえ、バイヤーがフランスに買い付けに行き、国内では同店のみ独占輸入する商品を目玉に、限定性と希少性で差別化を図る。

 バイヤーの安達さやかさんは「いい物であれば多少高くても購入する女性が増えている」と話す。購買客層に親和性のある化粧品とも連動させ、コスメ売り場との相乗効果なども狙う。

 さいたま市大宮区の高島屋大宮店では、2年前まで店独自のバレンタイン催事を行っていたが、昨年から全店共通の催事スタイルへ変更。本社と連携した商品力強化でブランドの幅が広がり、昨年の売上は前年比で30%伸びた。

 今年は国内外の93ブランドが出店し、同店限定商品や、地元飲食店がジェラート販売を行う飲食コーナーも併設。販売部の青木崇嗣次長は「『もの』だけでなく『こと』も重視。幅広い客層の方に来て楽しんでいただける売り場にしている」と話す。

 売り場には男性客の姿も。自分用と友人用のチョコレートを買いに来たという蓮田市の70代男性は「チョコレート好きに男も女も関係ないよ」と笑顔を見せた。

 川口市のそごう川口店では国内外約40ブランドの商品を販売。特に地元菓子店とのコラボレーションに注力する。

 8日には市内の人気洋菓子店「シャンドワゾー」のシェフパティシエによる商品の説明と試食会を開催。女性客や家族連れなどが長蛇の列をつくり、早々に完売となった。同市の50代のパート女性は「地元ではとても有名なお店。私は自分用に、娘は友人用に購入した」とお目当ての商品を手に喜んでいた。

 販売部食品課菓子係の木村佳世係長は「自分用の購入は確かに増加しているが、ニーズの変化があっても、そこにうまく川口の特色を絡めていきたい」と地元愛で顧客の心をつかもうとしている。

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