<高校サッカー>西武台、正智深谷に1―0で競り勝ち決勝へ 昌平も進出、武蔵越生に5―0/新人戦
(15日)
(第3日・川口青木町公園陸上競技場)
準決勝を実施し、昌平と西武台がそれぞれ勝って、16日の決勝(13時・同陸上競技場)に駒を進めた。決勝進出は昌平が2年連続5度目、西武台が2年ぶり11度目。両校の決勝対決は、昨秋の全国高校選手権埼玉大会に続いて2大会連続で、新人大会では初。
5年ぶりの栄冠を目指す西武台は正智深谷に1―0で競り勝った。前半24分に村田がオーバーヘッドを決め、この1点が決勝点となった。2連覇を掲げる昌平は、28年ぶりの決勝進出を狙った武蔵越生に5―0で圧勝。前半に小見の先制ゴールなどで3点を挙げると、後半にも2点を加えた。
■西武台、1点を守り切る
西武台が前半の1点を守り切った。
西武台は前半24分、相手のクリアボールに反応した村田がオーバーヘッドシュートを決めて先制。後半は決定機を仕留められずに追加点は奪えなかったが、集中力を切らさずに正智深谷の猛反撃を無失点で耐え抜いた。
正智深谷は西武台と同じ8本のシュートを放ったが、ネットを揺らせず。決定力不足に泣いた。
■虎の子の1点守る/西武台
西武台が、昨夏の高校総体に出場した前チームから受け継いだ粘り強い守備で1点を守り切った。守屋監督は「全員がさぼらずに守備をやってくれた。合格点」と手放しで喜んだ。
虎の子の1点は芸術的なシュートで奪った。前半24分、左CKから武笠のヘッドがクリアされると、ゴールを背にしてこぼれ球を追いかけた村田が浮いたボールをオーバーヘッドキック。ボールは、素早く寄せてきたDF陣の頭上を越え、ゴールに吸い込まれた。
奇抜なシュートに見えたが、実は違う。昨年の練習試合でもオーバーヘッドでゴールを決めている村田は「相手の寄せが速かったし、イメージが頭にあった」と狙い通りだった。
見事なゴールはもちろんだが、ハードワークを欠かさずに正智深谷を無失点に封じた守備も光った。今年から初挑戦した3バックの不安定さを、積極的にボールを奪いにいく姿勢と、全員でカバーリングする意識で補った。センターバック(CB)の原田は「チャレンジとカバーができている」と胸を張った。
決勝の相手は、昨年の新人大会準決勝で0―6、全国選手権埼玉大会決勝は0―4で敗れた昌平。主将の大川は「絶対に倒さなきゃいけない相手。借りを返す」と雪辱を誓う。手応えを深めた守備力で、昌平の攻撃を封じるつもりだ。
■組織力欠き、出直し誓う/正智深谷
負けたことよりも、自分たちのやりたいサッカーが徹底できなかった点を悔いた。正智深谷の小島監督は「グループ、組織が全くできていない。数的優位をつくって展開すればいいのに。力を出せず残念」と首をかしげた。
3バックの西武台に対し、左右のセンターバック(CB)の脇のスペースを突きたかった。作戦も練って練習は積んできたが、前半の途中から前へ蹴り出す場面が多く、自分たちでリズムを悪くした。試合を通じ、攻撃機会は相手を上回った一方でシュートまで持っていく回数は少なかった。
個性が豊かな選手が多く、複数が攻撃に絡み合えば、面白いチームになりそうだ。主将のCB大塚は「昌平や西武台には組織力があるが、正智にはない。強いチームのいいところを盗んで、自分たちの色も出していけたら」と出直しを誓った。
■昌平、効果的に得点
昌平が効果的に得点を重ね、武蔵越生を全く寄せ付けなかった。
主導権を握った昌平は前半4分、篠田の右クロスに小見が右足で合わせて先制すると、ここからゴールラッシュ。同18分に篠田、同36分に井野がそれぞれ決め、後半にも小川、井野の得点で突き放した。
守勢に回った武蔵越生は、後半6分に相手のミスから渡辺が唯一の決定機を築いたが、外した。
■技術凝縮の先制弾/昌平
勢いに乗る武蔵越生を何の問題もなく退けた昌平。試合開始早々に流れをつかんだ先制弾は、個の技術が凝縮されていた。
前半4分、右サイドで縦パスを受けた篠田が1人をかわし、その勢いのまま間髪入れずにアーリークロス。「(クロスの)タイミングも質も良かったと思う。いい感じで曲がった」と篠田。「スペースを空けて入った」と相手2人の間に顔を出した小見の右足にぴたりと合った。「合わせるだけ」と謙遜した小見だが全力で走り込み、吹かさずに仕留めるのはさすがだ。
昌平と言えば、中央から華麗に崩すイメージが強いが、その半面、警戒され中をぐっと締められることも多い。そんなときに生きるのがサイド。小見は「練習から、両サイドからの攻撃も意識している」と"攻撃の幅"を強調。藤島監督も「クロスから点を取れたのは良かった」とうなずいた。
細かなミスはあるにしても、今の時点で死角は見当たらない。左MFで起用され、2得点を奪った井野は「ボールを取られても、すぐに取り返し、半面ゲームで勝ちたい」と西武台との決勝を力強く見据えた。
■力の差痛感、今後の糧に/武蔵越生
武蔵越生は5失点で完敗。西沢監督は「どこまで粘り強くやれるかと考えていたが、技術も精神面でも相手が上だった」と力の差を痛感した。
前半4分の失点で出はなをくじかれた。守備の意識が強くなって消極的になり、出足が鈍ると、こぼれ球を回収できずに防戦一方に。前線からのプレスを修正した後半は、6分にショートカウンターから渡辺が惜しいシュートを放つなど、チャンスはつくった。
28年ぶりの決勝は逃したが、全国区の強さを体感したことが収穫だ。主将の木村は「フィジカルや3人目の動きが全然違った。個々の力を高めていかなければ」と敗戦を糧に成長を約束した。