埼玉新聞

 

【部活どうなる(13)総合型クラブ】高額な器具、専門知識を「共有」 中学体操部とクラブで一体的に活動

  • 体操部と体操クラブが体育館で器具を共有し専門家が指導。一体的に活動を続ける杉戸中学校

    体操部と体操クラブが体育館で器具を共有し専門家が指導。一体的に活動を続ける杉戸中学校

  • 体操部と体操クラブが体育館で器具を共有し専門家が指導。一体的に活動を続ける杉戸中学校

 部活動の受け皿として期待される総合型地域スポーツクラブ。埼玉県杉戸町立杉戸中学校体操部は、NPO法人の総合型地域スポーツクラブ「すぎスポ」に所属する「すぎスポ杉戸体操クラブ」と一体的に活動を行っている。

 「すぎスポ」にはスポーツ、文化、障害者スポーツなど町内計22団体が所属。保険加入やイベント参加など、団体が相互に連携し、地域のスポーツ振興に取り組む。

 同中学校で体操を指導するのは町内の大島斎礼さん(92)。県立浦和高校から早稲田大学を経て、埼玉銀行(現・埼玉りそな銀行)に入った。1954年、ローマで開かれた体操世界選手権の日本代表選手として活躍。日本体操協会副会長などを歴任し、広い人脈を持つ。持ち前のリーダーシップと人の良さで親しまれ、町や学校、教委からも「大島さんに任せているので安心」と信頼が厚い。

 大島さんは同中体育館で行われる練習に毎回参加し、きめ細かな指導に取り組む。体操クラブは小中学生が対象。練習は平日4日、週末は大会や地域のイベントなどに参加する。会費は月3千円、保険料は年間800円。

 近年、運動能力を高める習い事として人気の体操。大島さんは「20年前、当時の教育長に頼まれ、中学生を見始めた。最近は体操が人気で入会する子どもが増えている。小学生は中学生とも親しく、中1ギャップも解消できる」と笑顔を見せる。

 午後4時ごろ、授業を終えた中学生が、器具を設置し練習を開始した。途中から小学生が加わる。保護者や経験者、卒業生が補助に交ざり、子どもたちの練習を見守る。全員で器具を片付け、午後7時に全体練習が終了する。

 トランポリンやエアマット、平均台など、本格的な器具は「高額で学校の予算に頼ることはできない」と大島さん。世界大会や体育館の改修で不要となった器具を安く引き取るなど、環境整備のため工夫してきた。

 部活動とクラブが、指導者や場所、器具を共有し、高度で専門的な練習を実現しているが、これまで「すぎスポ」が取り組んだ事例を振り返り課題も見えてきた。大島さんは外部指導員の学校への理解不足や、平日と週末の指導者間の連携などを挙げ、「学校や顧問の先生との調整はなかなかうまくいかない。(部活動の地域移行は)そう簡単ではない」と語った。

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