埼玉新聞

 

「当たり前」に感謝 飯館村の村長、一日吉川市長に 以前は吉川市長が一日飯館村長 震災10年、続く交流

  • 対談する菅野典雄村長(右)と中原恵人市長=16日、吉川市のイオンタウン吉川美南

 吉川市のイオンタウン吉川美南で16日、東京電力福島第1原発事故で被災した福島県飯舘村の菅野典雄村長を「一日市長」に迎え、講演会を開いた。震災から10年目を迎え、同村について理解を深めてもらおうと市が企画した。

 同市は震災復興支援のために2018年度から同村に職員を派遣している。昨年8月には中原恵人市長が同村で「一日村長」を務めるなど交流を続けてきた。

 菅野村長は中原市長と対談し、原発事故後に全村避難を強いられた当時のことや復興の現状などを報告。「当たり前だと思っていることをありがたく思うことが大切。震災を経験したからこそ感じる」と話した。

 現在は一部の地域を除いて避難指示が解除され、1400人の村民が暮らしているという。菅野村長は「丁寧に、心を込めて」などの意味を持つ福島の方言「真手(までい)」の精神を大切に、村の新たな発展に向け取り組んでいることを紹介した。

 会場では同村の特産品の販売も行われ、「いいたて雪っ娘」という品種のカボチャを使った加工品や地元産の米などが並んだ。菅野村長は一日市長として、イオンタウンの若手社員らとの懇談や市内の視察などの務めを果たした。

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