【部活どうなる(14)休日の地域クラブ】平日は原則「部活」…県の改革方針浸透せず 課題は「受益者負担」
少子化や教員の多忙化を背景とした部活動改革が、本年度から本格的に動き始めた。埼玉県は6月、国のガイドラインを受けた方針を公表。まずは休日の「地域クラブ活動」の整備と充実を図る方向性を前面に出した。3~6年かけて段階的に移行する計画だ。
主管する県保健体育課の担当者は、「地域移行で部活がなくなったり、地域に丸投げしたりするのではないかと思っている人が多い。なかなか浸透していない。今回始めるのは休日の地域クラブ活動。平日は原則部活を継続する」と理解を求めた。
また今年度から県内の実証事業が広がり、独自の取り組みも始まる。これまでモデル事業を重ねてきた戸田市、白岡市、さいたま市に加え、熊谷市、深谷市、久喜市、蕨市が参加して7市に拡大。県独自の事業は実施主体を民間の事業者に委託して9カ所で行うことが決まった。ラグビーの埼玉パナソニックワイルドナイツやバレーボールの上尾メディックスなどプロチームのほか、総合型地域スポーツクラブや民間企業が参入する。
県が考える当面の課題は、大きく分けて(1)実施主体(2)指導者(3)受益者負担―の3点。同課は特に、「受益者負担への理解が進んでいない。その言葉を使うのが適切かどうか分からない」と苦慮する。昨年度までのモデル事業は、国の予算を活用して外部の企業に委託したが、自力で続けていくためには当然のように運営資金が必要となる。
ある民間クラブの関係者は「今はモデル事業費が入っているからできる。委託事業者はお金が出なければやらない」と指摘。「受益者負担をいくら取るのか。リアリティーがない。みんな(部活やスポーツを)やめてしまうのではないか」と危惧する。
多くの課題を抱えながらもスタートを切った部活動改革。県のスポーツ行政を長く務めた久保正美県スポーツ協会専務理事は、さまざまな実証事業を行うことで、「地域の実情に合った埼玉らしいやり方が見えてくれば」と今後の展望を語る。そのためには、「個々の事業に市町村教委が主体的に関わっていくことが大事。事業を通して考え方を整理し、これからの部活の在り方を検証してほしい」と期待を込めた。
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