埼玉新聞

 

話題!10円で駅前宿泊できる イーホテル熊谷アネックスの限定プランに注目「福祉施設に寄付を」予約殺到

  • 宿泊客から寄せられた絵本や衣類、縫いぐるみなどを紹介するEHOTELグループの松本義弘社長=熊谷市桜木町のイーホテル熊谷アネックス

 寄付した方は10円で泊まれます―。熊谷市桜木町のビジネスホテル「イーホテル熊谷アネックス」で、10日から始まったチャリティー宿泊プランが話題を呼んでいる。福祉施設に寄贈するための絵本や衣類、縫いぐるみなどを「お気持ち」として募り、代わりに破格の料金で宿を提供。29日までの期間限定だが、既に9割以上の部屋が予約で埋まっているという。

 イーホテル熊谷アネックスは昨年2月、熊谷駅南口にオープンした。チャリティー宿泊プランで泊まれるのはシングルルーム83室(1~2名用、通常料金5千円台から)のうち、空室となっている部屋。アメニティーなどのサービスも通常と変わらない。

 2月は客室の稼働率が落ち込む時期。「単に値下げするのではなく、社名の由来でもある『良い(イー)こと』をしたかった」と、国内10店舗を展開するEHOTELグループの松本義弘社長(50)は語る。

 松本社長は熊谷で生まれ育った。本社は東京都港区だが、「愛着ある郷土を盛り上げるためにも、オープン1周年を機にインパクトのあることをしたい」と企画したという。

 無料化も検討したが、システムの都合上、販売できなくなるため最低料金の10円に。一泊につき1点以上の寄付を条件とし、集まった物品は市内の児童養護施設や保育所に贈ることにした。

 すぐさま予約が殺到し、使わなくなった物品のほか、寄付するため新品を購入する宿泊客も訪れた。「私も施設で育ったので」とスーツケースに入った大量の洋服を持ち込む人や、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大に伴い品薄状態が続いているマスクを箱ごと寄付する人も。サラリーマン以外にも、近隣住民やカップルなど新たな客層の開拓にもつながっている。

 エリアマネジャーの和波祐丞(ゆうすけ)さん(48)は「お客様のお気持ちを直接受け取るのは、従業員にとってもうれしい。今回の取り組みを通じ、『なんか良いホテルだな』と感じてもらえたら」と話している。

 問い合わせは、イーホテル熊谷アネックス(電話048・521・5010)へ。

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