日本人の心の温かさに感謝「私を怒ったのは私への応援」 川口で外国人らの日本語スピーチコンテスト
川口駅前の市民ホールで、市内在住の外国人による日本語スピーチコンテストが開催された。語られたのは、会社や隣人の日本人の心の温かさに感謝する言葉だった。インド、中国、インドネシア、モンゴル、デンマーク、ベトナムの6カ国の8人が出場。客席は市民120人が埋めた。
金賞はインドネシアのファジャル・フィルマンサーさん(22)。銀賞は同国のワヤン・バユ・アジさん(21)。2人は川口市内の金属工場の技能実習生。近くのアパートの同じ部屋で暮らす。銅賞はベトナムの女性、ディン・ティ・ホンさん(21)。
■「けがをしたいのか」
ファジャルさんは新人の頃に工場で大きな声で怒られた体験を話した。「何やってる。けがをしたいのか」。言葉が分からないまま「ハイ」と返事をすると、もっと大きな声で怒られた。「ほんとにおまえはけがをしたいのか」。
「今思うと、私を大声で怒ったのは、頑張れ、しっかりしろという、私への応援だった。この春、帰国するが、私も真剣に怒れる大人になりたい」と締めくくった。
ワヤンさんのテーマは昨年10月の台風19号の体験。会社の人から「食料品を買っておく、風呂に水を張る」と教えられた。「祖国では天気予報は当てにならないし、行政からの情報もない。台風の時はひたすら神様に祈るだけ」。
「でも祖国では隣近所が助け合っている。いつも、誰かを助けたいと思っています」
■心の垣根
ディンさんのテーマは「心の垣根」。日本に来て3年。故郷の隣人同士の付き合いに比べ、日本は冷たいと感じていた。ところが、ひょんなことからアパートの隣の若い日本人女性と知り合った。
「彼女の温かい心を知り、今では料理を差し入れ合う友達。表面が違うだけ。中の心は温かいことに気付いた」。
インドのムジカ・クマルさん(24)は「日本が一流の経済大国になったのは、身分制度がなく自由平等の社会だからだと思う」。中国の楊夢さん(38)は「日本語も分からず、長女が生まれて大変だったころに保育園の先生たちに助けられた」。
■思いやり
モンゴルのガンパト・タギーツエレンさん(25)は「思いやりの心は日本もモンゴルと同じ」。デンマークのドナンビレ・ダイスさん(26)は「とにかくデンマークに遊びに来てください」。
川口の自主夜間中学に通う女性、ベトナムのグェン・カムトゥさん(26)は「頑張っていると、日本の人は必ず助けてくれた」と話した。