謝罪…“いじめ報告書PDF”の黒塗りマスキング外れてしまう…ある操作で ネットに公開、繰り返されたミス
埼玉県教育局は2日、県立学校で発生したいじめ事案に関する報告書について、1日にホームページ(HP)上で公開した「いじめ重大事態報告書」におけるマスキング(黒塗り)の一部が、特定の操作によって外れる状態にあったと発表した。
2日に会見した生徒指導課担当職員によると、1日午後4時に、調査報告書をHPに掲載。同23分ごろ、いじめ重大事態で情報共有を行う青少年課の職員からの指摘を受け判明した。公開停止するまでの45分の間に職員の確認作業を含め最大88回のアクセスがあった。そのうち21件が外部からのアクセスだったという。
マスキングが外れる状態にあったのは、報告書に対して被害生徒の保護者が意見、指摘を行った全7ページにわたる「報告書に対する所見(公表版)」の部分で、PDFファイルを特定のウェブブラウザからコピーし、文書作成ソフトなどに張り付けるとマスキングが外れて表示される状態だった。
マスキング部分には▽被害生徒の通う学校名や学年、学級▽いじめの経緯や心身への影響▽複数の関係教員の名字、関係する生徒の名字―などが書かれていた。被害者生徒の氏名については、文書中で「A」と匿名表記されていたため、マスキングはされていなかった。
同課では、公表用の報告書の作成、PDF化の際にマスキング部分の文字が読み取れないようになっているかなどのチェックを行っていたが、問題となったウェブブラウザを使ったチェックは行っていなかった。
ウェブブラウザによって異なった動作になった原因について、同課では特定できていないという。ただ報告書のうちマスキングが機能した部分は、職員が作成した文書をマスキング処理の上PDF化したのに対し、「所見」は被害生徒保護者の代理人弁護士から提供されたPDFデータにマスキングを行い、再PDF化した違いがあったという。
同課では1日中に代理人弁護士を通し被害生徒、保護者に謝罪した。同課でマスキング処理を伴う文書を作成するのは初めてだった。同課は「(問題が)起きないように対応したが、細心の取り扱いができていなかった」と陳謝した。
同様のミスは以前から全国の自治体で報告されていて、6月にはさいたま市でも発生している。