埼玉新聞

 

<埼玉県公立高入試の速報解説>気になる平均点の動向は?-梅野弘之氏

  • 試験教室へ向かう受験生たち=28日午前8時すぎ、さいたま市浦和区の県立浦和第一女子高等学校

 28日に、県内各地で一斉に実施された「令和2年度県公立高校入試」。教育ジャーナリストの梅野弘之氏が分析した試験問題の難易度や特徴などを速報する。

 ▽取り組みやすい問題が増加

 問題数、出題形式、出題内容など、全体としてはほぼ例年通りと言えますが、教科ごとに細かく見ていくと、いくつかの変化も見られます。

 ▽国語

 大問数は5問で昨年と同じですが、小問数は1問増えました。大問1に記述問題が2問あるのは昨年と同じですが、記述の分量が昨年は(15字以上25字以内)と(25字以上35字以内)だったのに対し、今年は(30字以上40字以内)と(45字以上55字以内)と増えています。昨年、小説や論説以外の文章(新聞の投書記事)を元にした読解問題が初めて出題され注目されましたが、今年は「お礼の手紙」を元にした問題が出題されました。難易度は昨年並みということから平均点も大きな変化はないと予想されます。

 ▽数学

 昨年までと比べ、学校選択問題と学力検査問題との共通問題が減りました。一見して同一問題に見えても、出題の方法を変えることによって難易度に変化をつけるなどの工夫が見えました。学力検査問題の大問1は例年通り小問集合でしたが、小問数が昨年の11問から16問に増え、それに伴い配点も65点に増えました。基礎的問題中心の大問1の配点が増えたことにより平均点の上昇が予想されます。学校選択問題は、後半にやや難しい問題も見られましたが、平均点が大きく下がることはないでしょう。

 ▽社会

 問題数や各分野の配点などに変化はありません。論述問題(文章で解答する問題)も7問で昨年と変わりません。大問3・大問4の歴史では、ここ数年の定番となった世界史に関連した問題が出ました。また、受験生の多くが苦手とする年代の並べ替え問題が今年も2問出ました。人名・用語などの知識問題は基本的なものが多かったので、平均点は昨年並みか、やや上がると予想されます。

 ▽理科

 問題数や各分野の配点などに変化はありません。文章で解答する問題は、昨年の7問から6問に減りました。昨年受験生を苦しめた「計算の過程や考え方」を書かせる問題は、今年はありませんでした。地学・生物・化学・物理の各分野とも、ほぼ予想された単元からの出題でした。例年正答率が低い大問5も、今年は点数を取りやすかったと思われます。平均点は昨年より上がりそうです。

 ▽英語

 全体としては大きな変化はありませんが、英作文の出題形式などに変化が見られました。学力検査問題では独立した英作文問題(昨年までの大問5)がなくなり、大問4と大問5にそれぞれ2~3文を英文を書かせる形になりました。学校選択問題の英作文は、昨年までよりは、やや長めの英文を読んだ上で書かせる形になりました。学力検査問題の平均点はやや上昇、学校選択問題の平均点は昨年並みかやや上昇と予想されます。

■梅野弘之氏

 教育ジャーナリスト、元埼玉県公立高校教諭。メディアバンクス代表取締役。埼玉新聞受験特集に執筆するほか入試関連イベント、進学情報誌の編集発行に携わる。入試関連イベントでは、さいたまスーパーアリーナで毎年夏に開催される「彩の国進学フェア」の企画のほか、テレ玉の入試特番「公立高校入試の傾向と対策」などに出演。1951年、浦和(さいたま)市生まれ。

=埼玉新聞WEB版=

※2月29日付埼玉新聞では令和2年度県公立高校入試問題と解答を収録するほか、県内学習塾の実力派講師による入試問題の分析を掲載します。

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