埼玉新聞

 

松山高新聞部、全国トップに輝く 総文祭で最優秀賞 部員0人で廃部危機も今100人超に 立て直した矢野教諭

  • 全国最優秀賞に輝き、表彰された県立松山高校新聞部メンバー(右2人)。左は共に最優秀を受賞した広島県の崇徳高校メンバー=鹿児島市内(松山高校提供)

    全国最優秀賞に輝き、表彰された県立松山高校新聞部メンバー(右2人)。左は共に最優秀を受賞した広島県の崇徳高校メンバー=鹿児島市内(松山高校提供)

  • 県立松山高校新聞部のメンバー。今春の新入生を迎え、部員は100人を超えた(松山高校提供)

    県立松山高校新聞部のメンバー。今春の新入生を迎え、部員は100人を超えた(松山高校提供)

  • 全国最優秀賞に輝き、表彰された県立松山高校新聞部メンバー(右2人)。左は共に最優秀を受賞した広島県の崇徳高校メンバー=鹿児島市内(松山高校提供)
  • 県立松山高校新聞部のメンバー。今春の新入生を迎え、部員は100人を超えた(松山高校提供)

 鹿児島県で開催された「第47回全国高校総合文化祭(総文祭)」の新聞部門(第27回全国高校新聞年間紙面審査賞)で、東松山市の県立松山高校新聞部が最優秀賞を初めて受賞した。部員ゼロの廃部の危機から再出発、わずか2年余りで全国トップに輝いた。引退した3年生も含めると部員は100人超。「今後も感謝の気持ちを忘れずに、日々の活動に励んでいきたい」と気持ちを新たにしている。

 新聞部は2019年7月、3年生が引退し、部員がいなくなり廃部の危機を迎えていた。一昨年3月、顧問に“指名”されたのが新任の矢野悠季教諭。4月、コロナ禍で新入生の部活勧誘のプレゼンは動画。部員不在のため矢野教諭自ら「新聞部は生まれ変わる」とアピール。熱弁に応え1年生22人が入部。再出発に際し各部員が得意な分野で新聞製作にかかわってもらおうと分業制(取材、写真、ライター、IT・編集)を導入した。

 当初は校内取材が大半、2学期からリモートで外部取材も始めた。翌年も22人が入部。部員も計53人に増えた。秋の県学校新聞コンクールではいきなり最優秀賞(知事賞)に輝いた。今年は新入生52人が入部、計102人の大所帯となった。3年生が引退し、現在は74人。

 審査賞には全国から151校が応募。対象は一昨年11月から昨年10月までの発行紙面。松高は本紙304号~322号と号外19回の計38紙。学校行事や生徒の活動、社会問題にからめた外部取材まで、紙面化した記事はコラムを含めて287本を数える。「発行回数の多さだけではなく、質の高さを感じる新聞。スクールジャーナリズムの意識を紙面から受け取ることができ素晴らしい。編集が難しいブランケット版を発行する意欲も良い。企画は話題が多岐にわたっており、視点も確かである」などと評価された。

 全国トップの朗報に前部長の丸山陽叶さん(3年)は「今回、この賞を取れた事で、来年度も取れるかどうかというプレッシャーがかかってしまうかもしれないが、どうか賞を気にせず、部活を有意義なものにできるように、これからも頑張って」と新聞部のラインに言葉を寄せた。

 表彰式に出席した本郷駿部長(2年)は「部員0人という危機的状況から、矢野先生と先輩方が立て直し、今の新聞部を築いていただいたのは本当に感謝しきれない。今後も感謝の気持ちを忘れずに(部員一同)日々の活動に励んでいきたい」としている。

 矢野教諭は「(松高の)名前が呼ばれた時はさすがに息をのんだ。自分たちのやってきた事が『間違いではなかった』と証明してもらえた気分だった」という。「個人ではなく(1年間の部員)全員の努力が評価された。(今後も)自分たちの興味を大切にもっと自由に挑戦してもらいたい」と話した。
 

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