埼玉新聞

 

<新型肺炎>大河主人公・渋沢栄一の「中の家」キャンセル相次ぐ スタッフのマスク失礼だったが今は安心感

  • 新型コロナウイルスの影響で来場者が減った旧渋沢邸「中の家」=2月29日午後、深谷市血洗島

 新型コロナウイルスの感染拡大で、深谷市血洗島の旧渋沢邸「中の家(なかんち)」も影響を受けている。3月の団体予約はキャンセルが相次ぎ、スタッフは「一日も早く沈静化してほしい」と話した。

 「中の家」は、新1万円札の顔に決まり、NHK大河ドラマの主人公に決まった同市出身の渋沢栄一の生誕地に立つ。栄一翁の妹夫婦が1895(明治28)年に上棟し、栄一翁が帰郷すると立ち寄り、寝泊まりしていた。

 昨年4月に新1万円札の顔に決まると、同所には4月下旬から5月上旬にかけて1日に700~千人が訪れた。最近まで平日は30~40人、土日曜日と休日は100~200人が来ていた。2月2日は242人、11日は256人が見学したが、17日ごろから減り、28日は45人だった。

 団体のキャンセルは2月に入ってから出始め、20日を過ぎると予約の約半分がキャンセルした。29日現在、3月は76団体の予約が入っていたが、70団体が既にキャンセルしている。

 感染予防として主屋入り口にアルコール消毒液を置き、28日からは必要な人にマスクを提供。来場者の8割がマスクを着用しているという。案内などをしているスタッフの五十嵐正男さん(73)は「これまではマスクをしていると失礼になり、声も聞こえないといわれた。最近は安心感を与えているようです」と話す。

 スタッフの蛭川隆司さん(71)は「一日も早く沈静化し、安心して見学をしてもらいたい」と胸の内を明かした。

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