埼玉新聞

 

<新型肺炎>臨時休校、チャイムも鳴らず静かな教室 6年生が最後の授業「やり残したことあり寂しい」

  • クラスメートとメッセージを書き込む6年生の児童ら=2日午前、宮代町立笠原小学校

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、埼玉県内の小中学校などでも臨時休校が2日、始まった。いつもとは違う静かな教室に、マスク姿で自主学習に取り組んだ子どもたちは「寂しい」と話した。

 さいたま市では両親が共働きなどで受け入れ先のない児童を、在籍する学校施設で預かる対応を取っている。同市浦和区の市立常盤小学校でも、児童の一部が登校し、マスク姿で自主学習を行った。

 同校には全校児童945人のうち、低学年を中心に72人が登校した。2~13日まで一斉休校の決定を受け、学校側は先週末、休み期間中の児童への課題の作成などで対応に追われた。

 午前8時半に保護者と登校した児童は、検温などの健康観察を実施。各学年で10人前後のグループに分かれ、図書館、パソコンルーム、和室、教室を1時間ごとに移動して1日を過ごした。読書のほか、インターネット検索、持ち込んだ課題を教員に見守られながら行った。

 普段は児童らの元気あふれる声でにぎわう校内も、この日はひっそり。チャイムも鳴らず、いつもと違う週明けとなった。

 4年生の女子児童(10)は2年生の妹(8)と登校し、「自宅から学校まで歩いて約15分の距離。いつもと違って、通学路には他に登校する児童がいなく、あいさつできないので寂しく感じた」と話す。

 市は児童の受け入れを、通常の学校での在校時間の範囲内とし、昼食についても各自が持ち寄ることとしている。

 4年生の男子児童(10)は「普段と違って学校全体が静かで不思議な感じ。せっかくの機会だから集中して、勉強を頑張りたい」。共働きの両親が毎日午後7時すぎに帰ってくるという女子児童(10)は「休みだから親や友人などと遊びたいが、こういう状況だから仕方ない。早く日常の学校生活に戻ってほしい」と願っていた。

 同校では児童のストレスも考慮し、今後は体育館で体を動かすことも検討している。全児童の保護者対象に受け入れ希望日を調査しており、より万全な体制を整えていく予定だという。三島公夫校長(56)は「全児童へ1週間に1回、メールで健康状態の問い合わせなども検討している。今後も児童の健康をまず第一に考えていきたい」と話した。

 宮代町は休校中の過ごし方や計画的な学習を指導するため、3日から休校を開始する。2日午前が最後の登校日となり、町立笠原小学校では、教員が児童に休み中の注意事項や学習方法を伝えた。

 週末はプリントや課題の作成に追われた教師も多かったという。白石昌孝校長は「このあとの過ごし方のためにも、休みの入り方が重要。急な対応だったが、子どもの健康と安全を最優先に考えた」と話した。

 6年生にとっては最後の小学校での授業となった。教室では、児童が卒業式で読むはずだったあいさつを唱えたり、シャツに寄せ書きをするなどして最後の別れを惜しんでいた。

 冷たい雨の中、在校生に囲まれながら教室を後にした6年生の男子児童(12)は、突然の休校に「やり残したことはたくさんあり、とにかく寂しい」と話していた。

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