埼玉新聞

 

さいたまに新アリーナ…「市民の声聞いていない」「説明不十分」反対署名1800筆超に 市民団体が中間報告会

  • 5千人規模のアリーナ計画に反対する市民団体が開催した中間報告会=7日夜、埼玉県さいたま市中央区の与野本町コミュニティセンター

    5千人規模のアリーナ計画に反対する市民団体が開催した中間報告会=7日夜、埼玉県さいたま市中央区の与野本町コミュニティセンター

  • 5千人規模のアリーナ計画に反対する市民団体が開催した中間報告会=7日夜、埼玉県さいたま市中央区の与野本町コミュニティセンター

 埼玉県さいたま市中央区の与野中央公園内に収容人数5千人規模のアリーナ施設を建設する市の計画について、反対する市民団体が7日夜、中間報告会を中央区内で開催した。6月中旬から始めた反対署名は、市への提出分を含め1800筆を超えたと報告。「市民の声を聞いていない」と批判し、署名活動を含め反対運動を拡大する方針を示した。

 市は昨年5月、次世代型スポーツ施設の方向性を決め、同年12月に「(仮称)次世代型スポーツ施設基本計画(案)」を決定した。今年3月に地元説明会を2回開催。5月に基本計画を公表した。5千人規模のアリーナは、バスケットボールのBリーグなどプロスポーツ興行への利用を想定。老朽化が進む与野体育館の機能を引き継ぐサブアリーナも整備する。PFI制度(BTO方式)で実施した場合の概算事業費は、現時点で約52億円としている。

 市民団体は地元住民による「市民不在の新アリーナ計画に反対するさいたま市民の会」。同会は一番の問題を「知らせ方、決め方」と主張。計画は既に示されていたが、新アリーナ建設は今年に入り、知った住民が多いという。

 6月中旬から署名を始め、7月26日に1185筆を市に提出。報告会の前に672筆が追加された。6月29日、新アリーナ計画の中止を求める要望書を市に提出。市は7月10日、施設整備に理解を求める回答を文書で示した。

 同会の農業遊馬和夫さん(73)=中央区鈴谷=の父親は、公園を整備するため、旧与野市に土地を売却した。遊馬さんは「いきなりコンクリートの施設を造ると聞いてびっくりした。住民の声を聞いていない。できる限り緑を残していきたい」と訴えた。

 同会の目白大学准教授の広重剛史さん(47)=中央区鈴谷=は東日本大震災後、被災地の宮城県気仙沼市で学生らとボランティア活動を続けている。行政側から防潮堤の計画が出た時、住民への説明が不十分だったため、勉強会を開くなどしたという。気仙沼では行政と住民にあつれきが生じたとされ、「同じような構造で、自分の地元なので活動に参加した。計画は示されてきたが、新アリーナはすっと盛り込まれた。地元住民への説明が十分ではない」

 報告会には市民ら約90人が出席した。子どもの遊ぶ場所が減少する懸念や駐車場など交通渋滞に関する質問も出た。税理士持田晶子さん(67)=中央区本町東=は「静かな住宅街に5千人規模のイベント会場を造るのはとんでもない」と批判。約52億円の事業費にも触れ、「私たちの税金を勝手に使わないでほしい。赤字垂れ流しが見えている。税金を子どもたちのために使ってほしい」と話していた。

 市スポーツ政策室の担当者は取材に「住民の皆さんに浸透しきれていないところもあり、今後も説明をしていく予定。少しでも理解をいただけるように努めていきたい」と述べた。

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