埼玉新聞

 

<川口いじめ>また虚偽…武南署の文書に その場にいないはずの弁護士の発言「警察正しい」が書かれていた

  • 県警の記録には協議に出席していない弁護士が「警察の判断は正しいと思います」などと書かれていた(提供、画像を加工しています)

 川口市立中学校で元男子生徒(17)=県立高校2年=がサッカー部でいじめを受けた問題で、武南署員、校長、被害者の母親らが学校で行った協議について記録した武南署の文書に、出席していない弁護士が出席し、被害届の受理は難しいという署員の説明に対し「『警察の判断は正しいと思う』と発言した」と記載されていたことが8日までに分かった。元生徒らは3日付で、県警に抗議し訂正を請求した。

 記録は昨年11月5日、元生徒側が県警に開示請求し、12月18日に開示された。協議は元生徒が中学2年だった16年12月20日、中学校で開かれた。元生徒から被害相談を受けた武南署が、加害生徒らに事情聴取したことを踏まえて、署員2人、校長、教頭、市教委、被害者の母親が参加した。

 元生徒の当時の代理人、埼玉弁護士会の岡本卓大氏ら弁護士2人も母親に同行したが、学校側の要請で弁護士2人は同席を認められず校長室で待機した。

 母親によると、この協議で署員は「加害生徒や目撃した生徒らの記憶や証言が一致しない。首を絞められた被害は確認できたが、元生徒が先に蹴ったことにはなっていない。加害生徒と保護者には厳重に注意した」と説明した。このことは市教委作成の報告書でも裏付けられる。

 しかし、開示された県警の記録には「参加者は学校長、教頭、署員2人、弁護士で、相談の件については、時間が経過したこともあり日時の特定、それぞれの言い分が食い違うことから、被害届を受理できないことを伝えた。同席した男性弁護士からは、自分は刑事事件に詳しいが、私も被害届は受理しないと思います。警察の判断は正しいと思います、との発言があった」と記載されている。

 「同席した男性弁護士」とされた岡本弁護士は、埼玉新聞の取材に「同席していない。警察が正しい、という発言はしていない。虚偽記載だ」と話した。

 元生徒は、いじめで不登校になったのは学校や市教委の不適切な対応のためだとして、市に550万円の損害賠償を求めてさいたま地裁で係争中。この裁判で、校長は同じ協議について県警が開示した記録を裁判所に証拠として提出したが、これには「元生徒が先に足蹴りをした事実があり」と書かれていた。

 この記録について、元生徒は虚偽だと県警に抗議し、昨年12月2日に県警は虚偽だと認め元生徒側に謝罪している。武南署の虚偽文書が明らかになるのは2回目。

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