東日本大震災から9年、県内でも静かな祈り 加須で避難生活を送っていた被災者ら、故郷に向き黙とう
2020/03/12/00:00
東日本大震災から9年を迎えた11日午後2時46分。日本各地で遺族や被災者らが静かな祈りをささげた。新型コロナウイルスの影響で追悼式が相次ぐ中止になっても、愛する家族が奪われ、古里を失った記憶は消えない。県内でも原発事故で避難している福島県双葉町民らが加須市内などで黙とうをささげた。
加須市騎西の旧県立騎西高校前には11日、同校で避難生活を送っていた被災者ら10人が集い、地震発生の午後2時46分に故郷の双葉町の方向に向いて黙とうをささげた。
最後の避難所となった旧騎西高校には一時1400人以上の双葉町民が身を寄せた。同校で約3年間過ごした加須市の関根茂子さん(69)は、月命日の11日に欠かさず同高校前で黙とうを続け、今日で108回目となった。「津波で命を落とした親族3人に、ここ1カ月間の近況を報告することで、自分も元気をもらっている。今後もずっと続けていく」と力を込める。
今年は、加須市内で行われていた追悼行事が新型コロナウイルスの感染防止のため中止になったが、「まずは、みんなの体の安全が第一。来年は開催できることを祈っている」と願う。
震災の津波で家を失った宗像勝子さん(75)は、2012年から加須市内で生活を送っている。昨年9月に双葉町を訪れた際、自宅周辺が作業場施設と化し、町の面影が全くなくなっていたことに驚いたという。「いずれは双葉町に戻りたいが、まだまだ住める状態ではない。長い目で復興を見届けるしかない」と話していた。