埼玉新聞

 

<県内公示地価>住宅地、4年連続の上昇 商、工業地も値上がり 住宅地の上昇率、上位10位を川口が独占

  • 県内公示価格上位10地点

 国土交通省は18日、2020年1月1日時点の県内公示地価を発表した。平均変動率は住宅地がプラス1・0%で4年連続の上昇。商業地は2・0%、工業地は3・0%アップし、ともに7年連続で値上がりした。住宅地は上昇率の上位10位を川口市内の地点が独占するなど、都心から30キロ圏内を中心に上昇。一方で県北や秩父地域全体では前年同様に0・2%下落した。

 工業地は外環道や圏央道周辺の需要を受け、全国8位の上昇率。商業地はJR大宮駅や浦和駅周辺で引き続き上昇している。

 住宅地は継続調査した1025地点のうち上昇が46%を占め、横ばいが30%、下落が24%となった。1平方メートル当たりの最高価格地点は4年連続でさいたま市浦和区高砂2の2の6となり、97万9千円。上昇率のトップは埼玉高速鉄道の川口元郷駅が徒歩圏内の川口市栄町1の19の23で、9・8%だった。

 JR川口駅周辺の地点を中心に、上昇率の上位10位全てを川口市内の地点が占めた。不動産鑑定士の三田和巳氏は「東京へのアクセスに優れる住宅地が堅調傾向。新築マンションの高騰が、中古マンションや戸建てにまで波及した。東京に隣接する川口市内の住宅地で上昇幅が拡大している」と分析する。

 さいたま市内は0・1%下落した岩槻区以外の9区で上昇。中でも浦和、大宮、中央、南の4区は上昇率が3%台と高い伸びを示した。1平方メートル当たりの県平均価格が12万9700円であるのに対し、同市の平均は20万5700円だった。

 県内の傾向について三田氏は「10年ぐらい前から南部が上がり、中央は横ばい、北部が下がるという南北格差がある。最近は特に京浜東北線沿線の価格が上がり、それが起因として全体を押し上げている」とみている。

 工業地は継続調査の全44地点中40地点で上昇し、4地点で横ばい。下落はなかった。上昇率5・8%で県内1位の川口市領家5の6の37は首都高沿いであるほか、上位3位までの5地点は外環道や県南部、東部の国道近辺に位置している。

 商業地の上昇地点は、前年の126から130に増加。最高価格はさいたま市大宮区桜木町1の8の1で、1平方メートル当たり前年比40万円増の348万円で29年連続1位に。同地点は前年から13・0%上昇し、変動率でもトップとなった。上昇率上位10地点の中に、大宮区と浦和区が4地点ずつ入った。

 新型コロナウイルスの影響について三田氏は「重要な価格形成要因であるが、(調査の)後発事象なので今後の動向を注視したい」と述べた。

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