埼玉新聞

 

舌で楽しむ日光街道…21宿場を一つの御膳に 春日部の割烹店で「旅するランチ」 歴史や地場食材を調べ作成

  • 日光街道をテーマにした粕壁宿場御膳

    日光街道をテーマにした粕壁宿場御膳

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 埼玉県春日部市梅田の和食料理「くずし割烹花々」では、日光街道の宿場21宿にちなんだ料理を御膳にした「旅するランチ 日光街道 粕壁宿場御膳」(税込み2420円)を提供している。料理長の佐々木慎一さん(52)はコロナ禍の目玉商品として宿場御膳を企画し、「粕壁宿をPRし微力ながら地元を盛り上げたい」と話している。

 春日部は江戸時代、日光街道5番目の宿場「粕壁宿」として栄えた。佐々木さんは地元の歴史に着目し「旅するランチ」を発案。日光街道21宿の料理を一つの盆にのせた御膳を考案した。

 日本橋から日光まで、日光街道各宿にちなんだ小鉢がずらりと盆に並ぶ御膳に驚かされる。スタートとなる日本橋は「5分づきのごはん」。「ご飯をしっかり食べて、さあ出発」との思いを込めた。粕壁宿は地元カラー藤の紫にちなんだナムル、ゴールとなる日光は湯葉にしてあり、各宿にちなんだ料理21品が並ぶ。

 同店は2006年、かっぽう料理店としてオープン。ここ数年のコロナ禍で飲食店の営業が厳しい状況の中、佐々木さんは「店の名物になる料理を育てよう」と決心。日光街道それぞれの宿の歴史や地場の食材を独自に調べレシピを作成した。

 御膳の「隠しテーマ」は健康。野菜をふんだんに使い、素材の味を生かし、塩分を控えた。21種類ある料理全体の味のバランスに配慮。「血糖値が上がらないよう工夫した」と佐々木さんは話す。

 小鉢をのせる料理盆は、幅60センチ奥行き30センチ。宿場御膳のために特注で制作した。御膳を紹介するA3版の「お品書き」も作成。次女の花澄さん、友人とデザイン。料理を紹介するだけでなく、各宿にまつわる小話を盛り込んだ。料理を味わいながら、日光街道について語らう「旅するランチ」が生まれた。

 旬の食材を使い、宿のイメージやエピソードに重ね、料理を提供する佐々木さん。物価が高騰し、毎日21種類の小鉢を提供する苦労が絶えない。仕入れにより、食材を変更することもしばしば。試行錯誤の「旅」が続く。

 それでも佐々木さんは「御膳が運ばれて来ると、皆さん、『わー、すごい、楽しい』と喜んでいただける。宿場御膳を目当てに来店する方も増えた。法事やお祝い、誕生日など、特別な日に利用していただければ」と料理を提供する喜びをかみしめている。

【メモ】くずし割烹 花々 春日部市梅田3の145の1(電話048・763・3646)、営業時間はランチ午前11時半~午後2時、ディナー午後5時15分~同9時。毎週火、水曜休み。

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