道の駅が「犯行拠点」に…車中泊で窃盗57件、容疑の親子を追送検 日中に現場下見、深夜「転圧機」など盗む
工事現場から転圧機など小型建設機械を盗んだとして、埼玉県警捜査3課と熊谷、秩父、児玉、寄居署の合同捜査班は23日、窃盗の疑いで、いずれも住所不定、無職の男(50)と長男(22)、次男(21)=いずれも窃盗罪で公判中=をさいたま地検熊谷支部に追送検した。県警はこれまで県内22市町村などで窃盗事件57件(被害総額約1700万円相当)を確認。うち48件(同約1420万円相当)を追送検し捜査を終結した。
追送検容疑は共謀の上、昨年5月19日~今年4月7日、埼玉、群馬県内の建設工事現場等44カ所で、転圧機など168点(計約1420万円相当)を窃取した疑い。
捜査3課によると、3人は明るい時間帯に県北西部や群馬南部を車両で走りながら転圧機や発電機が置かれている造成工事現場や基礎工事中の現場を確認。主に道の駅で時間をつぶし、午後11~午前2時ごろ、狙いを定めた場所で犯行を繰り返していた。昨年5月からの約1年間で秩父や深谷など県北中心に県内11市10町1村など57件に上った。
犯行時は2人が実行役で、1人が車内や現場近くで見張り役をしていたという。盗み出した転圧機などの小型建設機械は次男名義の車に積み込み、県内の中古買い取り業者に売却。約280万円の現金に換えていて、3人は車上生活を送りながら、この現金を生活費やパチンコ、スロット代に費やしていた。
3人は容疑を認め、工事現場を狙った理由について、深夜に必ず作業員が不在になったり、防犯カメラの設置がほとんどないこと、転圧機などの建設機械はほぼ防犯対策がされておらず地面に置かれている点を挙げているという。
■「犯人捕まり安心」道の駅はなぞの
親子が車を止めて寝泊まりをしていた「道の駅はなぞの」(深谷市小前田)の従業員で、男を目撃していた男性(33)は「長時間の駐車で車の中も見えない状況で不気味だったが犯人が捕まって安心した」と語った。
3月ごろ、数日間止まったままになっている車両を認知。その後男が同駅の店舗を訪れ「車が故障しているので置かせてほしい」と申し出てきたという。「その時はごく普通の客に見えたが、実際に犯行の拠点になっていたと分かり恐怖心はあった」と振り返る。
同駅の駐車場はドライバーなどの休憩場所として24時間開放されているが、車中泊は推奨していない。同駅では駐車車両監視の強化など、犯罪を起こさせない環境づくりに注力する方針だという。