埼玉新聞

 

かすれ声、喉頭がんの可能性も…早期発見を 埼玉で市民講座 2週間以上も“口内炎”続いたら舌がんか

  • 舌のがんについて解説する中平光彦教授=さいたま市浦和区

    舌のがんについて解説する中平光彦教授=さいたま市浦和区

  • 舌のがんについて解説する中平光彦教授=さいたま市浦和区

 日本耳鼻咽喉科・頭頸部(けいぶ)外科の県地方部会などは、さいたま市浦和区の県民健康センターで市民公開講座を開催し、喉頭がんと舌がんについて医師が解説した。

 県立がんセンターの白倉聡医師は喉頭がんについて「たばこが原因の一つ。団塊の世代を中心に患者数は増えているが、手術で助けられるので死者数は増えていない」と説明。自身の喉の映像で内部の構造を示しながら「がんができると声帯の振動が悪くなり声がかすれ早期発見が容易。進行し手術で喉頭を摘出すると、生まれながらの声は失われるが、食道発声や電気喉頭などの代用音声でコミュニケーションを取れる」と話した。

 手術をすると、風呂やプールで気管孔に水が入らないように注意が必要。また、鼻をかんだり、ストローで吸ったり、そばをすすったりすることはできなくなる。実際に代用音声を習得した患者の女性は「最初にシャワーを浴びる時は緊張したが、今は上手にできる」と振り返り、先輩の患者が発声方法を指導する当事者の会に参加しているとして「初めて声が出るとうれしそうな笑顔になる。スポーツやカラオケをする人もいて、できることを楽しむのが一番。『病気をしても私は私』と楽しく過ごしている」と話した。

 埼玉医科大学国際医療センターの中平光彦教授は舌がんの予防について「リスク因子の酒、たばこを控え、口腔衛生を保つなど、なるべくがんにならない生活を心がけてほしい」と強調。ただ、高齢化で患者は年々増えているとし、「炎症が2週間以上続いたら口内炎ではなくがんの可能性がある」と異変に気付いたら、まず耳鼻咽喉科・頭頸部外科を受診するよう呼びかけた。

 舌がんは最初は舌の表面にできるが、時間がたつと内部深くに入り込む。早期なら表面の部分の切除により舌の機能を損なわずに治療でき、進行した場合、切除範囲が広くなるだけではなく、舌内部の血管などを通じて広く転移する恐れがあるという。中平教授は「術後の5年生存率は高く、長生きはできるが、切除範囲が広いほど入院期間の長期化や胃ろうの造設など苦労が増えてしまう」と話した。

 講演は動画投稿サイト「ユーチューブ」でも公開されている。

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