<新型肺炎>大宮公園は宴会禁止、ショッピングモールも閑散 外出自粛始まる「不要不急の判断難しい」
新型コロナウイルス感染拡大を受け、東京都をはじめ埼玉など首都圏各県が不要不急の外出自粛を求めた週末が28日、始まった。感染者が急増する密集地の往来を抑え、オーバーシュート(爆発的患者急増)を防ぐための異例の措置。普段はにぎわう県内の大型ショッピングモールや花見の名所も人影はまばら。各地で「困惑している」「判断つかない」など、いつもと違う週末に戸惑いを見せた。一方、秩父市大宮の羊山公園では例年通りシートを広げて花見をする家族連れも多く、見頃を迎えたシダレザクラの名所も、いつものようににぎわった。
「さくらの名所100選」としてソメイヨシノなど約千本が咲き誇っている、さいたま市大宮区の大宮公園。例年なら足の踏み場もないほどレジャーシートが広げられるが、今年は宴会が禁止された。毎年訪れているという大宮区の70代女性は「静かに桜を観賞できるのはうれしいが、何か逆に不思議な感じ」と違和感を語る。
同公園では約10人の警備員が午前9時から午後8時まで交代で見回りし、シートを発見したら、宴会自粛を要請。大人数で集まらないようにも呼び掛けている。「人が密集しないので、散った桜が地面を埋め尽くす光景を、この公園で初めて見た」と大宮区の北川陽二郎さん(43)。外出自粛には「コロナ対策として、前向きに捉えたい」と話す。
園内の売店にも影響は及ぶ。ラーメンやおでんを販売する「おぐま」の店主、小熊恵美子さん(71)は「営業して約半世紀、最も花見客が少ない」と嘆く。13日に同公園の桜が開花したが、予想以上に花見客が少なく、例年に比べ店の売り上げも約6割減。「外出自粛でさらに困惑。先が見えないし」と頭を抱える。
大宮区のショッピングモールは外出自粛要請を受け、一部の店舗を除き、この週末を臨時休館にした。普段は隣接するJRさいたま新都心駅から多くの若者らが訪れるが、この日は閑散としていた。
都内に住む伊藤雄士さん(29)は家電が壊れたため、営業中の量販店を探して県内へ訪れ、「どうしても必要だったので外出した。不要不急の判断が難しい」。20代男性は友人の結婚式に向かう途中で、「外出自粛というけど、こればかりはしょうがない。タイミング悪いが、欠席するわけにもいかないし」と困惑した表情を見せた。