埼玉新聞

 

<新型肺炎>東京や歓楽街、当面は外出自粛を 知事が呼び掛け「出勤も工夫を」 学校再開は4月初頭に判断

  • 埼玉県庁=さいたま市浦和区高砂

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大野元裕知事は29日に記者会見し「当面、不要不急の要件で東京へ赴くことは自粛してほしい」と述べ、県民に対し30日からの平日に都内への不要不急の外出を控えるよう求めた。出勤については「自粛をお願いするものではないが、時差出勤や在宅勤務を進めるなどさらに工夫を行ってほしい」と呼び掛けた。

 知事は都内への外出自粛に加えて、屋内での「密閉」「密集」「密接」の三つの「密」が重なる数人以上の会食や、夜間の歓楽街への外出も自粛を要請。歓楽街への外出には、都内の歓楽街で感染拡大が起きていることから同じ事例が想定されるとして、県内でも自粛を求めた。

 冠婚葬祭で感染が拡大した事例が県外で発生したことを踏まえ、三つの「密」が重ならないよう場所や人数などを考慮するよう要請。病院や福祉施設内での感染防止対策の徹底も引き続き求めた。

 知事は県内での感染者数は10人未満で推移しており、クラスターや感染源の増加が発生している状況ではないとしながらも「東京都と埼玉県は感染状況が似たような傾向にある」と指摘。東京で28日に1日当たりとして最高の63人の感染者が確認されたことに触れ、「埼玉でも急激な感染増が懸念される。それを回避するために、また仮に急増したとしても発生時期を後ろにずらし準備の態勢をつくるための自粛のお願いだ」と理由を説明した。

 30日からの対応を29日要請したことについて、知事は「感染拡大の防衛は重要だが、社会的な機能維持とのバランスも考える必要がある。両者を考えて判断した」と述べた。今週末(4月4~5日)の措置については「平日と週末では社会的機能や人々の動きなどが異なるので、1日か2日には発表できるようにしたい」とした。

 都内での都市封鎖(ロックダウン)が現実味を帯びる中、「ロックダウンを回避するために、密接な関わりのある東京都とは引き続き連携を取っていく」とした上で、私権の制限には「行政としては抑制的であるべき。必要だとしても透明性に留意すべき」と慎重な姿勢を示した。

 学校再開については準備を進めている段階だが「直近の感染状況を踏まえて、4月初頭に判断したい」と述べた。

ツイート シェア シェア