女性に暴行、車ではねる…北本の小学校で ストーカー逮捕 公表せぬ県警、女性に口外禁止や転居転職求める
北本市内で今年1月、ストーカー規制法に基づき接近禁止命令を受け、警告も受けていた男が知人女性(34)を殴り車ではねる事件が発生した。男は鴻巣署に殺人未遂容疑で逮捕され、傷害罪で起訴された。初公判が3月25日、さいたま地裁で開かれ、男は起訴内容を認めた。検察側は懲役2年を求刑、弁護側は執行猶予付き判決を求めて結審した。判決は4月8日に言い渡される。
男は加須市久下の無職(62)。起訴状などによると、被告は1月16日夕、北本市内の小学校敷地内で、被害女性の顔を拳で複数回殴った上、車で女性の足をはね、1カ月のけがを負わせ、助けに入った別の女性も殴り、約10日間のけがを負わせたとされる。
裁判や女性への取材によると、女性と被告は昨年、仕事で知り合った。被告は事件の2週間ほど前、女性の車のタイヤを刃物で刺したとして、同署に器物損壊容疑で逮捕された。被告は女性と示談し、ストーカー規制法に基づく接近禁止命令を受けいったんは釈放された。釈放直後に、被告が女性方近くを車で走り、女性の通報により、署から再度警告を受けていた。数日後、女性が子どもを迎えに行った小学校で事件が起きた。
小学校敷地内で発生し、当初は殺人未遂容疑で逮捕された事件。近くにいた子どもや親らが事件を間近で見ていた。県警は一連の事件について「被害者と家族のプライバシーが特定される恐れがあった」と公表していない。対応が適切だったかという問いに「未広報、公判中の案件で回答を差し控える」としている。
元県職員の被告は2001年、公務と偽って別の女性の親族の戸籍謄本などを不正取得した有印公文書偽造などの事件で有罪判決を受け執行猶予中、この女性の中傷ビラをまいたなどとして、ストーカー規制法違反と名誉毀損の罪で実刑判決を受けていた。
北本の事件の女性は、警察から事件について口外しないよう言われ、転居や転職を求められたという。女性はこうした経緯を踏まえ、事件の報道を強く望んでいる。「(報道が)出ても出なくても、学校では有名な話。被害を受けた私だけがつらい思いばかりするのはおかしい。報道されずに刑が軽くなることだけは避けてほしい」と訴えた。