本庄男児死亡、母親ら起訴内容認める 犯行は「世帯主の女の指示」と説明 同居後「しつけ」苛烈に
昨年1月、埼玉県本庄市の住宅で当時5歳の男児に暴行を加えて死亡させ遺体を床下に遺棄したなどとして、傷害致死や死体遺棄などの罪に問われた母親(31)と同居人の男(36)の裁判員裁判の初公判が28日、さいたま地裁(北村和裁判長)で開かれ、両被告はいずれも「間違いありません」と起訴内容を認めた。被告人質問で両被告は、世帯主の女=傷害致死などで起訴=からの指示で犯行に及んだと説明した。
冒頭陳述で検察側は、母親らが2021年1月ごろから住宅に移り、返事をしなかったことなどを理由に男児へのしつけとして、過度の叱責(しっせき)や暴行を日常的に行ったとして「常習性のある犯行で悪質であり、果たした役割は重大」と指摘した。
母親の弁護側は、暴行は世帯主の女の指示だったとし「(暴行を否定すると)生活に協力しなくなるなどと言われ逆らいづらい環境だった」と主張。同居人の男の弁護側は「世帯主の女自身が保育士だったと聞かされていて、正しいしつけだと思い指示に従っていた」とした。
弁護側による母親への被告人質問で、自身が男児と共に同居人の男らの住む住宅で暮らすことになった経緯について、元夫からの家庭内暴力(DV)から逃れて身寄りがなく、一時的に居候していた知人の紹介で知り合った世帯主の女らの提案で同居を始めたと説明。
世帯主の女らの男児に対するしつけが厳しくなり、母親自身も暴行を指示されたとして「(当初は)少ない金で面倒を見てくれて信用していた」と従ったが、エスカレートしてから世帯主の女に「厳しすぎる」などと話すと「面倒見ないよ」など言われたとして「他に行くところがなく、逆らわないようにしていた」と答えた。
起訴状などによると、母親と同居人の男は世帯主の女と共謀の上、昨年1月18日、本庄市内の住宅で母親の長男=当時5歳=に投げ倒すなどの暴行を加え死亡させ、翌19日に住宅の床下に穴を掘り遺体を埋め、同居人の男は21年2月28日、同住宅で別の男児に対して暴行を加えたとしている。