埼玉新聞

 

<新型肺炎>県展、初の中止に 来年度に延期、作品は改めて出品可能 芸術の祭典にも影響

  • 1988点の作品が展示された昨年の県展=2019年5月28日、さいたま市浦和区の県立近代美術館

 県教育局は3日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、5~6月に県立近代美術館(さいたま市浦和区)で開催予定だった県美術展覧会(県展)の実施を見送り、来年度に延期すると発表した。県展は、自治体主催の公募美術展では全国トップクラスの出品数を誇る。1951年から毎年開催されており、今年は第70回記念展となる予定だった。同局文化資源課によると、県展の中止や延期は初めて。スポーツなどのイベントに続き、新型ウイルスの影響は芸術の祭典にまで及んだ。

 県内で3日に確認された感染者は1日で過去最多の16人に上った。

 県展は県や県教育委員会、県美術家協会などの主催で、日本画や洋画、彫刻、工芸など6部門で作品を公募。今年の県展は5月7~10日に作品が搬入され、審査を経て、26日~6月17日に入選・入賞作などが展示される予定だった。同課によると「出展者には高齢者が多く、搬入の際や家族や友人を伴って観覧する際に混雑が予想される」ため、延期を決定したという。

 今年出品する予定だった作品は来年改めて出品することは可能。ただし、未発表作品に限るため、他の展覧会などに出品した場合は来年の県展に出すことはできない。

 県展は51年、文部省(当時)が各都道府県に美術を通じた情報教育の実施を求めたことから始まった。本県では、洋画家の高田誠氏(92年没)や寺内萬次郎氏(64年没)ら著名画家らが立ち上げに携わった。昨年の県展は出品数3861点で、県の調べでは全国の県展の中で最多だった。入選率は6部門の平均で45・8%。

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