埼玉新聞

 

<新型肺炎>さいたま市、入学式なく校庭で写真撮影…教科書もらい帰る「授業開始時にもらえれば良かった」

  • 持参した手作りのパネルで記念写真を撮る親子ら=8日午後、さいたま市北区の市立大砂土小学校

 さいたま市は小学校104校、中学校58校で入学式を予定していたが、緊急事態宣言を受け、式典を行わないことにした。

 市内で2番目に新入生が多い北区本郷町の大砂土小では、8日午後0時20分から同1時40分までの間に、真新しいランドセルを背負った新入生228人が家族と共に初登校。校舎前で受け付けを行い、笑顔の教員が「こんにちは。入学おめでとう」と呼び掛ける昇降口でアルコール消毒をすると、それぞれの教室へと向かった。

 7組に分かれた教室では担任が待ち受け、児童たちは机に置かれた教科書や配布物を受け取り、あいさつをして校舎を後にした。

 式典を実施するはずだった体育館では、紅白幕やステージの飾り付け、間隔を空けた椅子の設置など、準備が前日までに全て整っていたが、使用できなかった。校庭2カ所に入学式の立て看板が設置され、校舎から出た親子が写真を撮る姿が見られた。

 付き添いで訪れた保護者からは「式典は時期をずらしてでも実施してほしかった」「教科書受け取りは授業開始と同時で良かったのでは」「それでも子どもと学校に来られたことをうれしく思う」などの声が聞かれた。

 新1年生の前沢杏寿さんは「給食が楽しみ」、小林陽希君は「友達をいっぱいつくりたい」と新学期開始を楽しみにしていた。

 深津健太郎校長(50)は「お子さんにとって大切な入学式がこのような事情で残念。今は我慢の時。楽しい学校生活を元気に待ってほしい」と話した。

 同市西区の県立大宮南高校では、新入生357人が新しい制服とマスクを身に着けて入学式に参加した。体育館の窓を全て開けて換気し、国歌と校歌は歌わずCDで流すなどして、所要時間は例年の約半分の30分だった。

 式前には保護者会が行われたがわずか6分で終了し、入学式の間、保護者は教室で待機した。末吉幸人校長は「日々状況が変わる中、生徒のことを第一に考えた」と対応に苦慮したことを明かし、「新入生一人一人が良い表情で安心した。休校期間も元気に過ごしてほしい」とほっとした様子を見せた。

 久喜市の田辺琴美さん(15)は式後、「(規模縮小で)寂しい感じだったけど、高校生になったという実感が得られた」と笑顔で母親と合流した。

 桶川市の安食桃花さん(15)は「入学式がないと(同級生に)どういう人がいるか分からないので、あって良かった。休みの間も体を動かし、運動部に入りたい」と表情を引き締めた。安食さんの母親は「保護者が参加できず残念だが、入学式を実施してくれた学校や先生に感謝しかない。休校が長引き、運動不足や栄養面が気掛かり」と話した。

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