埼玉新聞

 

しつけの限度超えている…本庄男児死亡、母親に懲役12年、同居の男に15年求刑 弁護側は「4年、8年が相当」

  • 【裁判所】さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

    さいたま地裁=埼玉県さいたま市浦和区高砂

  • 【裁判所】さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 昨年1月、埼玉県本庄市の住宅で男児=当時(5)=を暴行し死亡させ、遺体を床下に遺棄したなどとして、傷害致死や死体遺棄などの罪に問われた母親の女(31)と同居人の男(36)の裁判員裁判の論告求刑公判が1日、さいたま地裁(北村和裁判長)であった。検察側は母親と男に対してそれぞれ懲役12年、懲役15年を求刑。一方弁護側はそれぞれ懲役4年、懲役8年が相当として結審した。判決は8日。

 論告で検察側は、男児に対して約1年間にわたり一方的に「しつけ」と称して暴行したことについて、男の交際相手だった女(55)=傷害致死などで起訴=の指示下にあったことを考慮しても「常習的犯行で悪質」とし「しつけの限度を超えており酌量の余地は皆無」と強調。

 母親については教育やしつけを他人に押し付け親としての責任の欠如を指摘し、母親よりも力が強く、ほかの男児にも暴行した男の粗暴さを非難した上で「5歳の子どものかけがえのない将来が奪われており、結果は甚大」とした。

 一方、母親の弁護側は、母親らが女らの家で暮らし始めるまでは長男への暴行がなかったと主張。女の指示を拒否すれば身寄りがないにもかかわらず家を追い出される可能性があったことなどを挙げ、「犯行の最終的な意思決定は母親だが、女の存在が大きな影響を与えていた」とした。

 また、男の弁護側は、一連の暴行は男児らへのしつけの意図があったとし、女自身が保育士であったと自称していたことなどから、暴行の指示に疑いを持たなかったとし「父親がいない男児らに対して、その代わりとして自立できるようになってほしいという思いがあった」と述べた。

 起訴状などによると、両被告は女と共謀の上、昨年1月18日、本庄市内の住宅内で母親の長男を投げ倒すなどの暴行を加え死亡させ、翌19日に住宅の床下に穴を掘り遺体を埋め、男は21年2月28日、同住宅で別の男児に対して暴行を加えたなどとしている。

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