埼玉新聞

 

昭和レトロの味守る…「鋳物の街」で呉服店から転身の町中華、メニューは全部で100! 川口の「大晃飯店」

  • 夏野菜が光る人気の「香港丼」

    夏野菜が光る人気の「香港丼」

  • 厨房に立つ店主の本柳靖博さん=川口駅近く、ふじの市商店街の「中国料理・大晃飯店」

    厨房に立つ店主の本柳靖博さん=川口駅近く、ふじの市商店街の「中国料理・大晃飯店」

  • 夏野菜が光る人気の「香港丼」
  • 厨房に立つ店主の本柳靖博さん=川口駅近く、ふじの市商店街の「中国料理・大晃飯店」

 「父母から受け継いだ昭和レトロの味を守りたい」と、2代目店主、本柳靖博さん(57)は静かに語る。店はJR川口駅東側の市内屈指の商店街「ふじの市商店街」の一角。再開発で大きく変わる同駅だが、この一角は昭和の風格を保つ商店街だ。

 「コロナ禍が明けて今年の七夕祭りはたいへんなにぎわいで、店は悲鳴を上げるほど忙しかった」と母の芙美子さん(79)。約60年前に福島県から嫁入りした。「結婚式は当時の上青木公民館。バンドも出てにぎやかだった」

 西川口と川口で呉服店を営んでいたが、1978(昭和53)年頃、現在地で中華料理に切り替えた。鋳物工場社長らを顧客に呉服は繁盛したが「将来を見て見切りをつけた」と芙美子さん。

 「呉服店主から町の中華」へ大転身。「日本人に合う味の中華」を看板に、ギョーザが初代和義さんの自慢料理だった。

 長男の靖博さんは鋳物工場が並び、鉄が焼ける香りの街で育った。幸町小から幸並中時代に街の変化を体験した。

 「親友がある日『転校するよ』と言う。鋳物工場の級友たちがどんどん転校していった。悲しい思い出です」。そして、工場の跡地にマンションが続々と建った。大学工学部を卒業して電機会社に就職。東京住まいを5年ほどした頃、父から「帰ってこい」。28年前に川口へUターンした。

 ふじの市商店街理事長を長年務めた和義さんは20年8月に79歳で他界した。芙美子さん、靖博さん、妹美和さんらが店を守る。「コロナ禍は苦しかったがなんとか生き残った。これからが正念場」と靖博さんは言った。

【主な人気メニュー】メニューは全部で約100。夏は五目冷やし中華(850円)。五目炒飯(チャーハン)(同)、バンバンジー中華そば(同)が人気。最近の自慢料理は黒胡椒(こしょう)の効いた香港丼(900円)など。

【メモ】中国料理・大晃飯店。川口市幸町2の4の14(電話048・251・5644)。営業時間は午前11時~午後9時。定休日は火曜日。アクセスはJR川口駅東口から徒歩5分。

ツイート シェア シェア