埼玉新聞

 

うつ病の母他界、19歳娘ショック…引きこもる日々、ふと“大切な場所”気付きサロン開業「笑っていいんだ」

  • 「わかちあいの会」を主催する山中晴与さん=熊谷市原島のデンクマルレンタルスペース

    「わかちあいの会」を主催する山中晴与さん=熊谷市原島のデンクマルレンタルスペース

  • 「わかちあいの会」を主催する山中晴与さん=熊谷市原島のデンクマルレンタルスペース

 8月27日午前、熊谷市原島のデンクマルレンタルスペース。自死や事故、犯罪、病気などで大切な人を亡くした人が自らの苦しみなどを語り合う「わかちあいの会」が初開催された。市民団体「グリーフケア・サポートくまがや あめのちはれ」が主催し、6人が参加。代表の山中晴与さん(35)は「やっぱり話せる場は必要だった」と語った。

 山中さんは秩父市出身。高校卒業後、エステティシャンになるため、千葉県の専門学校に進んだ。卒業後、就職先も内定していた19歳の時、うつ病だった母親が自死。大きなショックを受けて、一時は故郷に戻ってふさぎ込んだ。その後、2011年に熊谷市に転居し、17年にセラピーサロンを独立して開業した。

 今春にサロンを一軒家のデンクマルに移したところ、1階がレンタルスペースだった。「わかちあいの会にちょうどいい」と思った。かつて東京都内でわかちあいの会に参加してみると、参加者が会終了後にすっきりとした表情になったことが印象的だった。行政書士や警察OB、セラピストらと市民団体を設立した。

 自身も母親の自死が人生で最もつらく、自分を責めて、自宅に引きこもる日々を過ごした。母親のことは話してはいけないと思っていたが、自分の経験を話していくうちに気持ちがどんどん軽くなることを体感した。「笑ってさえもいけないと思っていたけど、笑ってもいいということを伝えたい。何でも言えて、みんなで分かち合える場所にしていきたい」と話していた。

 わかちあいの会は今後も毎月第4日曜に継続して開催予定。参加無料。
 

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