男女死亡…はねられる寸前、車が加速した可能性 送迎待ちで車を待っていた2人 現場にブレーキ痕なし
さいたま市見沼区の介護施設の駐車場で施設利用者ら男女3人が送迎車にはねられ死傷した事故で、現行犯逮捕された施設アルバイトの男(75)=さいたま市岩槻区本町3丁目=の運転する車が衝突直前に加速していたとみられることが14日、捜査関係者への取材で分かった。現場にタイヤのブレーキ痕はなかった。県警は同日午前、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の疑いで、介護施設を家宅捜索。男の勤務形態や健康状態、車の整備状況に問題がなかったかなどを調べる。
事故発生は13日午後4時20分ごろ。同市見沼区深作2丁目の通所介護施設「ビッグスマイルリハビリセンター」の駐車場で男が運転する送迎車が男女3人をはね、車の下敷きとなった施設利用者の無職男性(89)=さいたま市見沼区島町=と無職女性(88)=同区堀崎町=が死亡。施設の男性職員(43)=春日部市=が右脚に軽傷を負った。
男は調べに「敷地内で人をはねてしまったことは間違いない」と容疑を認めているという。送迎車はワンボックスタイプ。3人を次々とはねた後にスロープに乗り上げ、建物の壁に衝突して止まった状況や現場にブレーキ痕がなかったことなどから、車は3人とぶつかる直前に加速した可能性が高い。利用者らは施設の入り口付近で送迎車を待っていたとみられる。
県警は施設に設置されていた防犯カメラや送迎車のドライブレコーダー映像を解析するなどして、当時の詳しい状況や事故原因を捜査する。
■男は以前も物損事故2件
さいたま市介護保険課によると、事故を起こした男は2021年7月に働き始めた直後、敷地内の車止めや道路の縁石をこする2件の物損事故を起こしたという。いずれも利用者は乗車していなかった。今回の事故後の聞き取りで判明した。
厚生労働省の通知に基づいて、事業者から13日に電話連絡があり、14日朝に事故報告書の提出を受けた。同課は職員を現場に派遣した。同課の担当者は「利用者2人が亡くなられ、非常に重く受け止めている」と話し、再発防止を指導していくとしている。