埼玉新聞

 

<新型コロナ>マスク1万枚、中国・開封市が戸田市に寄贈 友好の証し、2月に送ったマスクの返礼届く

  • 中国・開封市から届いたマスクの入った箱。「黄河から荒川へ心からのごあいさつを申し上げる」という意味の言葉が記されている=戸田市

 戸田市と姉妹提携を結ぶ中国開封市から先月、航空便でずっしり重い段ボール箱が二つ届いた。中にはマスク1万枚が入っていた。表には中国語で「黄河から荒川へ心からのごあいさつを申し上げる」の言葉が印刷されていた。開封は黄河のほとりにある古都。2月に新型コロナウイルスの感染拡大が始まった頃に戸田市が市国際交流協会を通じてマスク1200枚を開封市に送ったそのお返しだった。

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 箱の表には白い紙に日中の国旗と共に「黄河向荒川的問候 開封對戸田的祝福」「中国開封市損助日本戸田市防疫物資」と印刷されていた。「黄河から荒川へ心からごあいさつを申し上げます。戸田のご多幸をお祈りします。中国・開封市が日本の戸田市に防疫物資を寄贈します」という意味だ。

 戸田と開封は2代目市長の斉藤純忠市長時代の1984年に姉妹都市提携を結び、昨年35周年を迎えた。先代の神保国男氏から現在の菅原文仁市長へと歴代にわたって交流を続け、青少年の相互派遣、文化・スポーツなど多様な分野で交流している。

 マスクの返礼に菅原市長は「心遣いに大変感謝しています。これまで築き上げてきた開封市と戸田市の友好の証しだと思い、大切に使わせていただきます」とコメントした。

 「10倍返しですね。郵送費も7万、8万円かかるのに。重くて大人一人では持ち上がらない。開封の人々の熱い友情を感じた」と国際交流協会の奥墨章事務局長(63)は感動した。

 「2月に1200枚送った後に、追加して送ろうとしたが、もう日本でもマスクがなくなってしまい追加で送れなかった」と奥墨さん。

 開封は黄河のほとりの都市で西安、洛陽と並ぶ中国三大古都の一つ。13世紀の北宋の時代に繁栄し、中国文化の中心だった。

 同協会の職員で開封市出身の楊建敏さん(53)は「滴水之恩 当湧泉相報」という中国のことわざを挙げた。「一滴の水の恩にも、湧き出る泉のような大きさで報いるべし」を意味するという。

 「困った時に助けてもらったことは決して忘れずに恩返しするという意味。開封は文明発祥の古都であることが誇り。人情も厚い街です。開封の高建軍市長も若い。これからもっと交流してほしい」と楊さんは話した。

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