教員不足に打開策?埼玉の採用試験、大学3年生も受験可に 全志願区分で実施 受験機会増、人材流出防止も
全国的にも問題となっている教員不足に対応するため、埼玉県教育委員会は14日、2024年度実施の県公立学校教員採用選考試験から、第1次試験の一部を大学3年生も受験可能とする計画を明らかにした。日吉亨教育長が定例会見で発表した。4年次の負担を軽減し受験しやすい環境を整えることで、教員志願者の早期確保を図りたい考えだ。
大学3年生の受験が可能となるのは全志願区分(小学校等教員、中学校等教員、高等学校等教員、特別支援学校教員、養護教員、栄養教員)で、1次試験の一部筆記試験種目が対象となる。受験可能種目については現在検討中で、早期の発表を目指すとしている。
1次試験で一定以上の点数を取った3年生を「選考通過者」とし、通過者に対して4年次に残りの1次試験種目を実施。その合格者に第2次試験を実施する計画で、3年次に選考を通過しなかった受験者については4年次に再度1次試験を受験することができるため、受験機会の増加にもつながる。
「前倒し選考」については、すでに東京都や千葉県が実施しているため、近隣自治体への人材流出に対する危機感も背景にはある。会見で日吉教育長は「人材確保は簡単に解決できる問題ではないと考えている。今後もさまざまな取り組みについて検討し、優秀な教員の確保に当たる」と述べた。
教職員採用課によると、公立学校全体の教員採用予定数は、20年1550人▽21年1817人▽22年1927人と増加してきた一方、受験者数は、20年6107人▽21年5860人▽22年5391人と減少傾向だった。
9月1日現在の公立学校全体の教員不足数は205人となっている。県教委では3年次受験のほかにも、教員免許保持者で教職未経験の人などを対象にした「ペーパーティーチャーセミナー」や大学と連携し教員人材育成を行う「彩の国かがやき教師塾」といった取り組みを通して、教員不足解消を図っている。