埼玉新聞

 

石破茂氏“人が足りぬ時代”を語る 都会に出て行った子ども、どう戻るか「地域を好きでないと戻らない」

  • 石破茂氏(中央奥)を招いて開かれた住民対話集会。左奥は起業大学の関根雅泰さん、右奥は神山典士さん=ときがわ町番匠の番匠文化センター

    石破茂氏(中央奥)を招いて開かれた住民対話集会。左奥は起業大学の関根雅泰さん、右奥は神山典士さん=ときがわ町番匠の番匠文化センター

  • 石破茂氏(中央奥)を招いて開かれた住民対話集会。左奥は起業大学の関根雅泰さん、右奥は神山典士さん=ときがわ町番匠の番匠文化センター

 初代地方創生大臣を務めた石破茂氏を招き、地域の在り方や将来像を探る住民対話集会が、ときがわ町番匠の番匠文化センターで開かれた。さまざまな地域活動に取り組むメンバーらを前に石破氏は「子ども時代に地域を好きにならなかったら、子どもたちは戻ってこない」と訴えた。

 集会は、同町内で古民家民泊施設を運営する「トカイナカハウス」(神山典士代表)が主催。同ハウスの月例会「ときがわ自然塾」の一環で、「我がまちからの地方創生~未来を語る会」をテーマに開催した。当日は、代表でノンフィクションライターの神山氏がファシリテーターを務め、対話形式で熱い議論が交わされた。

 神奈川県藤沢市から2015年に夫婦で同町に移住した飯島紘一さんは、家庭菜園からスタートして有機農業の専業農家になった。現在は町内約20カ所でネギを中心に生産。「地域を意識して取り組むことが大切」と基盤確立のポイントを話した。

 「大人の学び場」として比企起業大学大学院を運営する関根雅泰さんは16年、県の事業で比企起業塾を創設。その後、個人で塾を継承して起業大学を創設した。自身は企業の人材育成をビジネスとしながら、起業家を育成している。「ときがわ町には高校はないが(起業)大学がある。大人の学ぶ姿や背中を子どもたちに見せていきたい」と語った。

 ほかに高田博厚彫刻プロムナードのある東松山市の市民大学で「博厚と遊ぼう会」の活動をしている渡辺和恵さんや毛呂山町で若者定住の取り組みを進めている地域商社「もろやま創成舎」代表の笠原喜雄さん、ときがわ町でチャレンジする人をつないでいる町観光協会事務局の新井はるなさんらがそれぞれの活動を報告した。

 石破氏は報告や議論を踏まえた上で「これから人が足りない時代に入っていく。地方の力をどう引き出すか。都会に出て行った子どもたちにどうしたら戻ってきてもらえるかを考える必要がある」と主張。高校入試に地元の問題を出している鳥取県や宮崎県小林市のPR動画などの例を出し、「これを作ったのは20代の市職員と中学生。自分のまちをよくするために都会で学ぶという子どもたちが出てきている」と呼びかけた。

 会場には同町や近隣の首長、議員らも姿を見せ、各町の取り組みを紹介しつつ、議論に耳を傾けていた。
 

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