<新型コロナ>さいたま市、デジタル授業始まる 教諭の動画「巻き戻しできて良い」と評価 課題も解消へ
新型コロナウイルスの影響で、さいたま市立学校の臨時休校が続いている中、市教委は11日、デジタル授業を開始した。全小中学校の児童生徒約10万人が対象で、子どもたちは各学校の教諭が作製した10~15分の動画をパソコンなどで視聴した。1時限40分で、時間割に基づいて午前8時45分から3時限が行われた。
初めてのデジタル授業。市立栄和小6年の猪鼻理絵さん(11)は自宅で国語、理科、算数の授業を受けた。勉強机の上で教科書を開き、タブレット端末を置いて向き合った。最初の国語は「難しかったけど、動画を巻き戻して、もう1回見ることができたのは良かった」。理科は「物の燃え方と空気」の授業で、実験の画像が映し出された。課題で教科書を事前に読んでいて、「実験を実際に見ることができて、よく分かった」と、ノートに酸素の働きなどを記入した。感想を聞かれて「みんな遊んじゃうよ」とも話していたが、時間割の通り熱心に取り組んでいた。
母親の麻実さん(43)によると、子どもたちは休校中、「好きな時間に勉強していた」ので、時間割で決められた時間に動画を見ることになり、「スタートしてありがたい」と評価した。一方で、「高学年だからできたけれど、低学年の子は保護者がついていないと難しいのでは」といくつかの課題を挙げていた。
姉の市立土合中3年の優衣さん(14)は塾にも通っていて、デジタル授業のほかに12日から双方向のオンライン講義が始まるという。麻実さんは「朝の時間に先生と双方向のやりとりができれば良い」と話し、「(デジタル授業が)双方向の体制を整える第一歩になるのでは」と期待していた。
また、市立中学2年の女子生徒(13)は、国語、数学、英語の授業を受けた。「いつもは先生が見えているけれど、先生の声と画面に言葉が並ぶだけなので、少しやりづらかった」と振り返った。
国語は自己紹介文を書くことがテーマだったが、実際に書くのか説明がなく、「先生からの一方通行で質問ができなかった」。数学については「大事な用語を赤で出してくれたのが良かった」、英語は「先生が話す単語をリピートして、意味も分かり受けやすかった」という。初日を終えて「緊張しながらも集中できた。これから毎日ある授業についていけるように頑張りたい」と話していた。
市教委によると、ネット環境にアクセス可能な家庭は94・3%。対応できない児童生徒に、各学校は個別にプリント資料を手渡したり、パソコン教室を開放。友人の家に集まって一緒に視聴した子どももいたという。
市教委は、低学年の子どもの対応に課題が残っているとしながらも、「無事にスタートを切れた。今後は学校や保護者から挙がってくる課題の解消に取り組んでいきたい」としている。