熊谷小4死亡ひき逃げで男児の腕時計紛失…目録破棄か、記載ない文書を遺族へ 県警、容疑で元警部補を捜査
熊谷市で2009年9月に小学4年の男児が死亡した未解決のひき逃げ事件で、県警が遺族から証拠品として押収した男児の腕時計を紛失した問題で、事件を担当した交通捜査課の男性元警部補(60)=定年退職=が、押収した際に遺族に交付する文書をいったん破棄していた疑いのあることが17日、県警への取材で分かった。県警は公文書毀棄(きき)容疑で元警部補を書類送検する方針。
同課によると、元警部補が破棄したとされるのは、警察が遺族らから任意で物品などを預かる際に交付する押収品目録交付書。元警部補は15年9月ごろ、もともと遺族に交付していた文書を一度回収し、腕時計の記載のない文書を再交付していた疑いがある。当時、既に腕時計の紛失を認識していたとみられる。
昨年10月、捜査の過程で腕時計が紛失したことが分かり、県警が経緯を調査。同12月には、元警部補が文書を破棄した疑いのあることが発覚したという。元警部補は06年3月から交通捜査課に在籍し、事件については発生当時から異動する16年3月まで担当していた。県警は今年1月、腕時計の紛失を明らかにしている。
一方、遺族の代理人弁護士は「紛失を隠すために虚偽の公文書を作成したのではないか」としている。
事件は09年9月30日、熊谷市本石の市道で発生。自転車で帰宅中の小関孝徳君=当時(10)=が車にはねられて死亡した。事故当時、小関君が身に着けていた腕時計は母親が10歳の誕生日プレゼントに贈ったものだった。
事件では道交法違反(ひき逃げ)罪の公訴時効が16年に成立。自動車運転過失致死罪(当時)も今年9月30日に時効となる。
小関君の母親は代理人弁護士を通じて「大きなショックを受けている。警察は本当のことを話し、全力で犯人逮捕に向けて動いてもらいたい」とコメントした。