全国のコンクールでも入賞、自閉症の園児がふじみ野で個展 自由な世界観、絵の具とクレヨンで鮮やかに
3歳の時に自閉症スペクトラムと診断された富士見市の幼稚園児荻原秀明くん(5)が描いた絵画作品を展示した個展「きみとぼくのカラフル」が、ふじみ野市苗間のカフェレストラン「DandD」で開かれている。アクリル絵の具とクレヨンで魚や昆虫、乗り物などを色鮮やかに描いた具象画など計14点が展示されており、鑑賞に訪れる市民の目を楽しませている。31日まで。
秀明くんは両親と妹(3)の4人家族。母親で画家の純子さん(35)によると、言葉がうまく話せず、自分のこだわりを持って何かに取り組むのが好きな性格。幼稚園の朝礼でも座って聞くことができず、率先して自分のやりたいことを行動に移し、集団行動ができないという。
自閉症スペクトラムは臨機応変な対外関係が苦手で自分の関心、やり方、ペースの維持を最優先させたいという本能的志向が強いことを特徴とする発達障害の一種。診断後、秀明くんが話せる言葉が色の名前だけで、ブロックを並べるセンスが良かったことから、純子さんが秀明くんに絵の具とクレヨンを渡したところ、夢中で絵を描いた。その後、ネットから選んだアニメや動物などをモチーフに集中して描くようになった。
この2年間に描いた作品は50点以上に上り、全国の絵画コンクールで11点が入賞した。中でも、空の動く様子を親子で見た時のことを表現した作品「空も星もぼくらも動く」は、山梨県の中村キース・へリング美術館の第11回国際児童絵画コンクールでシミック賞を受賞している。
秀明くんが個展を開くのは初めて。展示作品は一律5千円で販売し、売上金の3分の1はふじみ野市と富士見市のこども食堂に寄付するという。
純子さんは「障害があっても素晴らしいことをやっているということを秀明自身に知ってもらい、これまで助けていただいた多くの人たちに『ありがとう』と感謝を伝える恩返しの意味で個展を開きました。秀明の色使いと自由な世界観をぜひ見に来てほしい」と来場を呼び掛けている。
問い合わせは同店(電話049・270・9293)へ。