<新型コロナ>さいたま市立図書館、17施設で予約図書を受け渡し 利用者に笑顔「ずっと待っていた」
新型コロナウイルスの影響で3月から臨時休館を続けているさいたま市の市立図書館の17施設が15日、休館前に予約を受けていた図書の受け渡しを始めた。利用者の来館日を設定して密集を避け、受け渡しのカウンターに透明のビニールカーテンを設置するなど感染防止対策を徹底した。予約図書を手にした利用者は「ずっと待っていました」と話した。
市複合公共施設コムナーレ8階にある中央図書館(浦和区東高砂町)は感染防止のため、近くの市立高砂小学校の体育館で実施した。職員が総出で利用者約3800人の予約図書約8千冊を整理して箱に入れ、運び込んだという。同館のスタッフは「お待たせしました」と声を掛けて、訪れた人たちに予約図書を次々と受け渡していた。
市内の女性は感染防止に気を遣いながら、小さなマスクを着けた長男(4)と訪れた。2月末に予約した絵本「ゆけ!ウチロボ!」を手にした長男は「(本が)大好き」。女性は「早く再開してほしいと思っていた。新しい本を借りたいし、開館するのを楽しみにしている」と話した。
「うれしい。ずっと待っていました」。市内に住む小宮恭子さん(70)は孫の絵本や雑誌など約10冊を受け取った。1~2週間に1度は図書館を訪れるといい、「図書館や公園は自由に使えた方が良い。本は知識を得られるし、孫に質問されたときに必要」と笑顔で話していた。
10年以上にわたり同館に勤務している40代の女性スタッフは、感染防止対策でマスクと手袋をしていた。熱中症対策で体育館には扇風機が数台持ち込まれており、女性は「皆さんが喜んでいただければ。暑いので熱中症対策もしてきてほしい」と呼び掛けていた。
作業を見守っていた同館の波田野育男館長は「十分な感染防止対策をクリアして、可能になった。市民の皆さんが本を手にすることで、少しでも心が明るくなる時間を持てるようになれば。職員一同が思っている」と話していた。
この日は、市立図書館25施設のうち17施設がサービスを開始した。残りの8施設は複合施設が休館しているため対象外。25~31日は新規の予約をインターネットや電話で受け付け、貸し出す。6月1日以降は感染状況などを注視して対応を決める。